天理は193センチの長身右腕、エース達孝太投手(3年)が161球を投げ抜き、6安打10奪三振で1失点完投した。序盤は140キロ台中盤をマークした直球を軸に、8回までは毎回奪三振。3四球を出すなど走者を背負いながら、粘りの投球を見せた。

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天理の達はいいストレートを投げる。立ち上がりは高めに抜けるボールが目についたが、それは低めを狙ったボールが抜けてしまったからだと感じた。抜けてしまうストレートを修正して低めに投げることができるようになれば、ストレートの威力はさらに増す。これから夏に向けて、非常に楽しみなピッチャーだ。

達のフォームを見ていて、誰かに似ているなと感じ、少し考えて思い出した。ダルビッシュの(日本ハム)入団当初のフォームと重なるものがある。それは肘の柔らかさ。肘が柔らかいというのは、投げる時に肘が前に出て、それに伴いボールを持つ手首が後から出てくる。このイメージを浮かべてもらえると、理解してもらえるのではないか。

肘の柔らかさのため、手首が遅れて出て、それゆえにボールを離す位置がより前になる。それが「ボールを前で放す」という投球動作になってくる。高卒でプロに入ってきた時のダルビッシュと似ていると感じた理由だ。やはりそれは非凡なもので、達が自然とそうしたフォームで投げているところに、大きな可能性を感じる。

この試合で打たれていたのは、変化球が多かった印象だ。ストレートの球威があるから打たれないと見るべきか、変化球にキレがないから狙われたということか、そこはこれからもっと意識を高く持ってピッチングに取り組んでほしい。センバツという大舞台で経験を積めることは素晴らしい。これから先も、低めへのコントロールという課題を忘れずに成長してほしい。(日刊スポーツ評論家)