楽天のドラフト1位ルーキー、早川隆久投手(23)が三度目の正直でオリックス宮城との投げ合いを制した。8回途中まで100球を投げ、5安打1失点。ともに新人王資格を持つサウスポー対決で、強気の無四球投球を見せ、約3カ月ぶりの白星となる8勝目を手にした。順位を大きく左右する上位との3連戦初戦を制し、チームと自身の連敗をともに3で止めた。

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自ら課した重圧をはね返した。6回、早川は初めてピンチを迎えた。オリックス宗の打球を右足に受け、続く杉本に中前打されて2死一、三塁。4番T-岡田に真っすぐで真っ向勝負を挑んだ。「今日の投球のテーマが表れたイニングだったと思います」。1球。145キロで中飛に仕留めた。

逆転優勝に望みを残す一方、振り返ればBクラスが見える3位。主将を務めた早大4年秋から、大事な試合は常に自分を追い込んで臨んできた。「本当は自分にプレッシャーはかけたくないですけど、勝負の世界では、それをはねのけられる精神面が大事」。強気な腕の振りは無四球に反映され、ボール球にも打者の手が出た。初回から飛ばしたが球数は少ない。10試合ぶりに8回のマウンドに立った。

ロースコアに持ち込むのはマストだった。宮城とは4月4日、6月20日と本拠地で2度先発で相対し、いずれも敗れた。3度目の投げ合い。それも両軍ともに連敗ストップがかかる3連戦初戦を任された。上原浩治氏(日刊スポーツ評論家)の言葉が頭に浮かんだ。「テレビか本で見たんですけど、カード頭はプライドを持っての投げ合い。そこで勝つことで成長できる」。

6月6日以来、7試合ぶりの白星。「長い長いトンネルだった」と言った。目指すのは優勝。だがもし、2位と3位のままであっても、クライマックス・シリーズ(CS)前にオリックス打線に苦手意識を持たせたかった。ベンチに戻った左腕に、石井GM兼監督は「投手の基本は打者に立ち向かうこと。それが今日はできていたね」と合格点を与えた。【鎌田良美】