ホーム 東京オリンピック2020 柔道 ニュース RSS ウルフ金、小学生時代武道館で2ショット鈴木桂治コーチと“共演”の夢舞台 [2021年7月30日10時26分 ] 通知ON 通知OFF 日刊スポーツをGoogleでお気に入りに追加 小学生の頃のウルフと鈴木桂治 <東京オリンピック(五輪):柔道>◇29日◇男子100キロ級◇日本武道館 男子100キロ級で初出場のウルフ・アロン(25=了徳寺大職)が、涙の金メダルを獲得した。決勝で趙グハム(韓国)に延長の末に一本勝ち。同級優勝は00年シドニー・オリンピック(五輪)金メダルの井上康生(現男子代表監督)以来、5大会ぶり。17年世界選手権、19年全日本選手権に加えて五輪も制覇し、日本柔道8人目となる「3冠王」となった。競技6日目を終えて、日本男子5つの金メダルは史上最多となった。 ◇ ◇ ◇ この日が来た。勝負が決まった瞬間、ウルフは両手をつきあげた。ほえた。「最後まで持ち味の泥臭い柔道を貫き、勝てて良かった…。子供の頃から目標だった東京五輪で優勝できて感慨深い。こみ上げてくるものがあり、うまく言葉にできない」地元東京でつかんだ金メダル。涙と笑顔が交じった、くしゃくしゃな顔でそう振り返った。決勝は9分35秒の死闘。最後は得意の大内刈りで一本。我慢の柔道を貫いた。完璧だった。「夢は大きく、目標は身近に」-。6歳から柔道を始めた時から、この言葉を胸に柔の道を歩んできた。それから19年。3冠王で尊敬していた男子代表重量級担当の鈴木桂治コーチと初の夢舞台で“共演”。「運命かもしれない」。小学生の時に日本武道館で撮影した2ショット写真は今もスマートフォンに残してある。一緒に戦いたい-。中2の時に書いた作文には、10年後の自分に向けたメッセージを書いた。タイトルは「中学二年の夏に思うこと」。国際試合で鈴木が投げたはずが、相手に返されて敗れた。その瞬間、柔道ではなく「JUDO」に感じた。「僕は僕の信じる柔道を続ける」。その先に夢の3冠王がある。そう心に決めた。「夢への近道はない。こつこつと努力をかさねた先に、僕の思い描いている夢があるはずだ。努力は裏切らないと信じている。夢に向かって1つ1つ小さな目標を達成していけばその夢はかなうはずだ。これを読んでいる10年後の僕の価値観と今の僕の価値観が同じであってほしい」(文中より)この作文の通り、1つ1つの目標を達成した。2度の膝の大けがも乗り越え、痛み止めを打ちながらこの日を迎えた。最後は尊敬する鈴木コーチと抱き合って、涙ながらに感謝を伝えた。「これで日本柔道の歴史に名を刻めた。達成できて、柔道人生で努力してきたものが報われた」8人目となる3冠王の偉業達成。25歳の五輪王者は涙が止まらなかった。【峯岸佑樹】<ウルフ・アロンあらかると>◆生まれ 1996年(平8)2月25日、東京都・新小岩生まれ。日本の大学で英語講師を務める米国人の父ジェームスさんと日本人の母美香子さんの間に生まれる◆柔道歴 6歳の時、祖父の勧めで講道館にある春日クラブで柔道を始める。千葉・東海大浦安高-東海大-了徳寺大職◆主な戦歴 高校時は団体戦で全国高校選手権、金鷲旗、総体の3冠。世界選手権は17年優勝、18年5位、19年3位◆負傷 19年12月に右膝半月板を損傷し手術◆世界ランク 5位◆組み手 左◆得意技 大内刈りと内股◆趣味 料理◆身長 181センチ