ジェフユナイテッド千葉MF佐藤勇人(35)が、双子の弟のFW寿人が所属する名古屋グランパスとのJ1昇格プレーオフ準決勝(26日、パロ瑞穗)を前に、「自分たちは…寿人もそうだと思いますし、家族というのを捨てて、クラブの一員として結果を出す立場としてピッチに立つ」と、兄弟の仁義を捨てて戦い、勝つことを誓った。

 2人は、J1ジェフユナイテッド市原時代の00年に、ともにユースからトップに昇格。その後、寿人がセレッソ大阪、ベガルタ仙台をへてサンフレッチェ広島に移籍し、勇人が京都サンガに移籍した09年12月5日の広島-京都戦(広島の4-1勝利、寿人が2ゴール)で、ともにフル出場し、双子対決が実現した。勇人が翌10年にJ2に降格した千葉に復帰したため、寿人がJ1広島から名古屋に移籍した今季まで対決の機会はなく、J2での双子対決が注目された。

 3月11日にホーム・フクダ電子アリーナで対戦し、千葉が2-0で快勝した初戦は、寿人が先発し、後半13分までプレーした一方、勇人はベンチ入りも出場機会はなかった。11日に豊田スタジアムで対戦したアウェー戦は、勇人と寿人がそろって先発し、約8年ぶりの双子対決が実現。寿人は後半19分で途中交代も、勇人はフル出場し、試合も3-0で勝った。

 勇人は12年、13年、14年と、千葉が参戦したプレーオフ全てを経験。12年は決勝で大分トリニータに0-1、13年は準決勝で徳島ヴォルティスに1-1(リーグ戦年間順位上位の徳島が決勝進出)、14年は決勝でモンテディオ山形に0-1で、いずれも敗れた。「プレーオフは、本当に厳しい戦い。経験していない選手もいますけれど、スタジアムに入る時に、ちょっと異様な空気も感じると思う。そういう選手がいたら、声をかけたりしたい」と経験者として、先輩としてケアするつもりだ。

 一方で、19日の最終節・横浜FC戦まで7連勝で、大逆転でのプレーオフ進出を決めた勢いも感じており「まとまって、やれることを100%やれる集団になっている。変な心配はない」と冷静にチームの現状を分析した。【村上幸将】