女子日本代表のエース、埼玉T.Wings(東日本リーグ2位)の菊島宙(そら、15)はノーゴールに終わった。

 準決勝でナマーラ北海道(北日本リーグ1位)の堅守に得意のスピードに乗ったドリブル突破を封じられ、0-1で惜敗。たまハッサーズ(東日本リーグ3位)との3位決定戦は、攻撃でコンビを組む日本代表の加藤健人(32)が負傷欠場し、中盤で司令塔役を務めたこともあって不発。0-0からのサドンデスPK戦では1人目に登場し、3日から3試合無得点のうっぷんを晴らすようなゴールを右上隅に決めて勝利に貢献した。

 「違う(PK戦の)ゴールで許してください。もう、足がボロボロです~」。菊島はちゃめっけたっぷりに笑った。日本代表はもちろん、男子に交じったクラブチームの試合でもゴールを量産するスーパーガールに、今大会でも対戦相手は対策を徹底。マンマークやゴール前に人数をかけるゾーンディフェンスで、ゴール前への進入を防いできた。ゴール前の混戦で足を痛めてうずくまり、フェンス際の接触プレーで体力負けして倒されるシーンも数多かった。それでもルーズボールやGKの弾いたボールにスライディングで飛び込むなど積極果敢に戦った。

 4月からは東京都立八王子盲学校の高等部に進学する。大会開幕前日の2日が合格発表だった。同校教諭を務めるたまハッサーズの日本代表・黒田智成(39)とは特に激しくボールを奪い合った。黒田とは東日本リーグ戦でも対戦する旧知の間柄で、尊敬する選手でもある。「学校で時間が合えば黒田先生ともサッカーの練習ができるといいですね。体幹を鍛えてシュート体勢が崩れないようにしたいし、男子との接触プレーにも負けないようにしないと…」。

 対戦した選手が「2、3年後には男子を含めても日本トップの選手になる」と絶賛するストライカー。「ゴール、次の試合で必ず決めますから、また見に来てください」と最後は無邪気に笑って言った。