川崎フロンターレのFW小林悠(33)が湘南ベルマーレ戦で今季11得点目となるJ1通算117得点目を記録した。

川崎Fで活躍した憧れのブラジル人FWジュニーニョと並んでいた同ランキングで、単独9位に浮上。チームはエースの1点で、今季2度目の7連勝を飾り独走態勢。23日の横浜FC戦後、J1最年長出場記録を樹立した相手FWカズ(三浦知良)とユニホームを交換して刺激を受けた元得点王も、若手が躍動する中、存在感を際立たせている。

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一瞬で勝負を決めた。前半18分。MF田中とMF家長がワンタッチでつないできた右クロス。小林は相手DFの前に瞬時に動きだして頭で合わせた。ゴールへの共通認識から生まれた鮮やかな11点目。「すごくいい崩しができた」と目尻を下げた。J1通算117得点でジュニーニョを抜き、歴代単独9位に浮上した。

23日に33歳を迎えた。MF田中やMF三笘ら五輪世代が躍動するチームで、フィールド選手では中村、家長に次ぐ“ベテラン”。「頭の中はクリアになってきた。年齢を重ねた方がゴールを取れるのかなと感じる」。前節までのシュート数はJ1の日本人で最多の43本。状況判断や動きだしで円熟味を加えつつ、点取り屋の本能も強烈に放つ。

先を走る同じ背番号11のキングにも刺激をもらった。24日、公式ブログでカズとユニホーム交換した喜びを記した。小林はカズのV川崎の11番のユニホームを着て、プロを夢見た少年だった。「自分も子どもたちのお手本になるような、憧れてもらえるようなサッカー選手になりたいと思いました」。

この日のゴールパフォーマンスは神奈川・麻布大渕野辺高(現麻布大付高)サッカー部のチームメートだったぺこぱのシュウペイではなく、相方の松陰寺太勇の決めポーズだった。「自分のスクールの子どもたちから、してほしいと。約束をしっかり果たせたかな」と笑った。チームを7連勝に導いた川崎Fの背番号11も今、かつてのカズのように、少年少女の憧れになっている。【浜本卓也】