北海道コンサドーレ札幌ミハイロ・ペトロビッチ監督(63)が外国人監督初のJ1通算200勝を成し遂げた。

横浜FCを3-0で下し今季2度目の2連勝。前半16分にFWアンデルソン・ロペスが先制点を奪うと、後半34分にFWのドウグラス・オリヴェイラ、同42分に大卒新人MF金子拓郎の3点目で突き放した。06年にサンフレッチェ広島を指揮して以来3クラブ15シーズン目で、日本人を含めても史上3人目の快挙を達成した。

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ピッチに笑顔の花が咲いた。試合後、ペトロビッチ監督はJ1通算200勝を祝う特製Tシャツに袖を通した札幌イレブンと記念撮影。「キャリアを終えたときに振り返れば良い」。祝福する周囲と対称的に、節目の勝利でも達成感を味わうことはない。06年に広島で指揮を執って以来3クラブで15年目。63歳の指揮官がJ1で迎えた441試合目。揺らぐことなく、目の前の一戦に集中した。

指揮官の思いをイレブンは体現した。主将の宮沢は「監督の200勝は1つのモチベーションだった」。前半16分にロペスが先制弾。最終ラインから宮沢が縦パスを入れ、FWジェイがつないで生まれた得点。18年就任のペトロビッチ監督が掲げる「攻撃的サッカー」。その基盤となる後ろからのビルドアップ(攻撃の組み立て)で決めた。ブラジルや韓国でもプレー経験のあるロペスは「一番インテリジェンスがあって素晴らしい監督」。尊敬する指揮官の先発起用に今季5得点目で報いた。

今季は上位進出を狙うもコロナ禍もあり13位と低迷。9戦連続未勝利(2分け7敗)となった9月13日浦和戦後には自ら進退の話題に触れるなど苦しんだ。06年からタッグを組む杉浦コーチ兼通訳は「勝ち負けだけに一喜一憂しない。戦い方を変えることなく、やり続けている。(その姿勢は)物事の核心を必ず突いてくる」。勝てなくても来季を見据え若手を積極起用。この日途中出場の大卒新人金子が3点目を挙げた。2月のキャンプで「難しい」と語っていた指揮官のスタイルを練習から徹底して学び今季4得点目。まいた種は確実に根を伸ばす。

試合終了間際。4点目を狙ったMF中野嘉のシュートが相手GKに弾かれると頭を抱えて悔しがった。ペトロビッチ監督は「見ている人が我々のサッカーを面白いなと言ってもらえることが重要」。勝敗を超えた美学を持つ勝負師と、再び歩み続ける。ロペスは「もっといろいろな記録を監督と一緒に成し遂げたい」。未来に向かって、道は伸びる。【浅水友輝】