テニスの全仏オープン(OP)車いすの部男子シングルスで4大大会(グランドスラム)最年少優勝を果たし、世界ランキング1位の小田凱人(17=東海理化)が、夢を追うことの大切さを説いた。
20日に羽田空港に帰国し、記者会見に出席した。62人の報道陣、12台のテレビカメラに囲まれながら「夢が自分の中では人生で一番重要」と言い切った。
9歳の頃に左股関節に骨肉腫を発症し、約1年の入院生活を余儀なくされた。そんな時、12年ロンドンパラリンピック決勝に臨む国枝慎吾さんの映像に魅了されて、ラケットを握った。
競技を始めた10歳の頃から、グランドスラム優勝と世界ランキング1位が夢だった。「7年前から夢は何一つ変わっていない」。当時から夢をかなえるため、自分と向き合ってきた。
「その頃から世界一になれると思って行動していましたし、世界一の人はこんな活動をするだろう、こんな立ち居振る舞いをするだろうと想像していました」
世界の第一線で活躍するアスリートの動画を見ては、言動やマインドセットを模した。
17歳にして夢をかなえた今、「その時に見よう見まねでやっていて、想像したものが、現実となって表れている」と胸を張る。
ただ、夢をかなえることよりも、夢を追うことが大切だと強調する。
「夢がかなうか、かなわないかは分からないですし、絶対はないと思います。ただ、かなえるまでの道のりが一番大事ですし、自分はそれをすごく楽しんできました」
そう発した言葉が、会見でのある場面と重なる。「快挙達成から時間がたった今の心境は?」と尋ねられた時のこと。小田は優勝の瞬間を回想しながらも、はっきりとした口調で答えた。
「緊張や感動といった感覚は今でもすごく覚えています。ただ、それを達成した後は、すぐにでも(7月の)ウィンブルドンでタイトルを取りたい、あれを何度も経験したい、より多く達成したいという気持ちが本当に大きいです」
快挙の感慨に浸ることなく、次の「夢」を見据えていた。その口ぶりは、どこか楽しげでもあった。
「小学生、中学生、10代で何か夢のある子どもたちが見ていたら、その夢に向けて頑張ってほしい」
口にするからには、自分自身が夢を追い続ける。その姿こそが、きっと誰かのエールになる。【藤塚大輔】


