フィギュアスケートの全日本選手権は21日、長野市ビッグハットで開幕する。男子初優勝が懸かる22年北京五輪銀メダル鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)が、大会前に日刊スポーツの単独インタビューに応じた。左足首の故障に苦しんだ昨季は8位。今月のグランプリ(GP)ファイナルで3位と復調した実力者は「体感10秒」を目標に掲げ、前回王者の宇野昌磨(トヨタ自動車)らライバルへの思いも明かした。【取材・構成=松本航】
18歳で五輪メダリストになった鍵山が、少年のようにほほえんだ。心の底から楽しみな場が目前にある。
鍵山 誰が表彰台に上がっても、おかしくない実力を持っている。全日本は本当に特別な舞台。すごく楽しみです。仲が良く、高め合っているのが、日本男子のいいところと思います。
昨季、左足首は疲労骨折寸前だった。GPシリーズを欠場し、唯一競技会に出た全日本選手権で8位。大会後は休養し、今年2月に練習を再開した。今季GP初戦のフランス杯は3位。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の金メダル候補シャオイムファ(フランス)やマリニン(米国)の合計300点超えを見つめ、競技者の血が騒いだ。
鍵山 エントリー発表では「うわっ…」と思いましたが、本番になると気合が入った。「どこまで戦えるんだろう」というのが、すごく気になり始めました。
GP2戦目のNHK杯では宇野を1・84点差で振り切って優勝。同じ中京大を拠点とする世界王者の背中を追ってきた。自身は全日本選手権で19年から3年連続3位。いずれもトップ2に宇野と羽生結弦がいた。
鍵山 2人の貫禄、目つき、オーラが「全然違う…」と感じました。その時の僕は端っこで「すごいな…」と思って見ていました。
復活のシーズン。コーチに14年ソチ五輪女子銅メダルのカロリナ・コストナーさんが加わった。北京五輪でSP、フリー合わせて3種6本だった4回転は、今大会も2種4本にとどめる。色紙を手にすると「最近ふと思い付いた言葉があって…」とペンを走らせた。
鍵山 「体感10秒」。面白い時間は、すぐに過ぎるじゃないですか。僕も見ている人も「もう終わってしまった」というプログラムにしたい。あっという間に感じる作品にしたいです。
コストナーさんからは目線、指先の使い方まで指導を受け「優真には『シークレット・ウェポン(秘密兵器)』がある」と評される。元全日本王者で父の正和コーチは「それは僕も思う。表現力、スケーティングスキル。新しい4回転を増やしながら、出来栄えを伸ばせば…」と世界一を目指す道のりを見据える。今大会も「体感10秒」の作品を届けられた時、自然と初優勝の景色は近づくだろう。
鍵山 試合前は「トップを取るために何が必要か」と考えます。でも試合になると、自分の100%の演技をしたい。とにかく集中し、その結果、優勝できたらいいなと思っています。
◆鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年(平15)5月5日、横浜市生まれ。5歳で競技を始め、19年全日本ジュニア選手権優勝。20年ユース五輪金メダル、4大陸選手権3位。星槎国際高横浜から中京大へ進学。22年北京五輪で個人銀メダル、団体銅メダル。父正和コーチは全日本選手権3連覇の実績を誇り、92年アルベールビルから五輪2大会出場。趣味は写真撮影。160センチ。血液型O。


