リオデジャネイロ・パラリンピック代表を逃した若い力が台頭した。男子800メートル(車いすT54)決勝を鈴木朋樹(22=トヨタ自動車)が1分37秒17で制した。スタート直後から先頭に立ってレースを支配する快勝だった。リオ落選の悔しさを晴らす世界選手権(7月14日開幕、ロンドン)での表彰台に自信を深めた。

 22歳とは思えないレース運びだった。強風が向きを変えながら吹き抜けるコンディション。鈴木はスタート直後に先頭に立った。後続をけん制しながら落ち着いて車いすを進め、第3、4コーナーでの競り合いにも冷静に対応。温存していたスプリント力を最後に爆発させて逃げ切った。

 「ゴール前は向かい風が強くて…。タイムは良くなかったですね。まだ、疲れが取れていないこともあるかもしれません」。3日前にスイス遠征から戻ったばかり。パリとの間を往復して3レースをこなしてきた。コンディションは決して万全ではなかったが、狙い通りの勝利にやわらかい笑顔を見せた。

 800、1500メートルでリオ代表を目指したが惜しくも落選した。鈴木は今年を「悔しさを晴らす1年」と位置づけている。課題は体力、スプリント力不足。世界舞台で戦うために短距離陣用のインターバル練習に力を入れている。それと同時に以前から出場してきたマラソンの経験が、若さに似合わぬ駆け引きに表れてきた。15年の東京マラソンに初出場で2位。その後、世界メジャースに昇格した同大会で、今年2月には3位に食い込んでいる。