来年の東京パラリンピック男子走り幅跳び(義足T64)で3連覇を狙うマルクス・レーム(30=ドイツ)が、大ジャンプで客席を沸かせた。2回目に8メートル03を跳ぶと、最終6回目には8メートル38と飛距離を伸ばし、又吉康十(24=ゼンリンDC)がマークした6メートル33の日本新に2メートル以上の差をつけて圧勝した。

「いい思い出のある日本で再び跳ぶことができて楽しかった」。パラリンピック界のスーパースターは競技後、気軽に取り囲んだファンとの記念撮影に応じた。昨年の大会(前橋市)にも出場し、自らの記録を一気に7センチ更新する8メートル47の世界新をマーク。その1カ月後の欧州選手権でさらに1センチ記録を伸ばしている。相性のいい日本で“8メートルジャンパー”の本領を発揮した。

健常者と変わらない実力から16年のリオ五輪出場をアピールしたが、国際陸連に「義足が有利に働いていないことを示す科学的は証拠が不十分」と受け入れられなかった。その後も訴え続けたが、東京五輪前年の今も「残念だが進展はないんだ。状況はまったく変わらない」という。この日跳んだ8メートル38は、リオ五輪を制したジェフ・ヘンダーソン(米国)の記録と同じだった。保持する世界記録は昨年の国際陸連ランキングで3位に相当する。

「来年の東京で世界記録を更新したい。そのために常に向上を目指して準備していく」。レームは笑顔でパラリンピック3連覇を予告した。【小堀泰男】