16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの日本(多田、山県、桐生、小池)は途中棄権となった。1走の多田から2走の山県にバトンを渡すことができなかった。

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400メートルリレーの日本代表は金メダルを期待されていました。8番手から1位を目指すためには、予選と同じ安全な戦い方では金は取れない。だからレース後に選手たちも口にしていましたが、決勝はリスク承知の攻めの策で勝負したのだと思います。パスを受け渡すためのポイントをスパイクで計るのですが、それを数センチだけ広げた結果、わずかにタイミングがずれたのでしょう。

ただこれは他のチームも同じ。3走から4走へのバトンパスはほとんどのチームが失敗していましたから。日本選手は個人種目でもいい結果を残せませんでした。それがリレーにも影響したのかもしれません。3年後のパリ五輪へ向けて、彼らには国内レースの予選から世界を見据えた走りをしてほしい。そして、デーデー・ブルーノ選手や柳田大輝選手は、この舞台で走れなかった悔しさを、次の世界選手権、五輪につなげてスケールアップしてほしい。若い彼らの成長は他の選手たちの刺激になり、きっと大きな相乗効果になるはずです。(100メートル元日本記録保持者)