女子1万メートルの日本記録保持者、新谷仁美(33=積水化学)は、32分23秒87秒で21位だった。スタート直後こそ7位に入賞した広中璃梨佳(20=日本郵政グループ)と先頭を引っ張ったが、すぐに集団に吸収され、ズルズルと順位を落とし、最後まで自分本来の走りができなかった。

レース後は「何度も何度も逃げ出したいと思った。それでも前に向かせてくれる人の応援があったから走りきることができました。結果を出さないといけないと言いながら、結果を出せなかったのは、つくづく私の弱さです」と涙を流しながら話した。

12年ロンドン五輪は9位に入り、13年世界選手権は5位と大健闘した。しかし、14年1月に電撃引退。一時は体重が13キロも増えたというOL生活を経て、18月6月にプロとして復帰した。丸4年のブランクがあったが、その間に踵などの故障が癒え、復帰後は快走を続けてきた。昨年はハーフマラソンで1時間6分38秒、1万メートルで30分20秒44の日本新記録をマークした。

ただ、五輪開催への反対論が強まった事もあり、走る意味に悩んでいた。仲間やスポンサーに支えられた。「本当に応援してくれる人たちに生かされた選手。応援あってのアスリートだと思っています。本当にありがとうございました。一番味方でいてくれた横田コーチがいてくれたので、横田(真人)コーチが待っていると思って走りました」とレース後には苦しい時期を支えてくれた人たちへの感謝の言葉を口にした。

代表に内定していた5000メートルは辞退し1万メートルに絞って練習してきた。葛藤を経て、スタートラインに立ち、立派に駆け抜けた。