4番鈴木誠也の覚悟がここにある-。侍ジャパンは今日28日、1次リーグ初戦のドミニカ共和国戦(福島・あづま球場)で天下取りへの初陣に臨む。27日は小雨が降る中、同球場で公式練習を行った。プレミア12のMVP男は現状の不調を自覚。だがポジティブ思考でネガティブ要素を切り捨て、球界の未来へ、すべてのプレーをささげる。

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鈴木誠の腹は据わっていた。台風8号の接近で小雨がぱらつき、要の打撃練習は室内で行った。7月の月間打率は3割9分5厘、5本塁打も強化試合2戦では首をかしげるシーンが目立った。「バッティングの状態はもうクソですね」と己を切り捨てた。相棒のバットを替え、試すが「今の状況だったら何を使っても一緒。振りやすいなと思ったのでいきたい」と感覚に委ねるしかない。だが4番の思考はここからが違う。

「五輪とかは1本出たら結構変わると思うので、今あんまり状態を気にしなくていい。悪いことは考えないようにしている。いいことばかり考えて日々過ごしています。ホームランというより、良い方向にいくように。チームが勝つことだったり。今の状態だと僕はちょっと危ないので」

プレミア12でも初戦ベネズエラ戦は2打席連続三振で始まった。だが負の流れに引きずられず、2打点を挙げ、大会MVPの起点とした。節目が来れば、確変できる。巨人でプレーするドミニカ共和国の先発左腕メルセデスにも通算22打数9安打3本塁打、打率4割9厘。堂々と迎え撃つ。

WBC、プレミア12を知るが、五輪の熱の違いを感じる。「野球人口も減っているので、こういう機会に」と言いつつ、大局に立つ。「野球だけじゃなくて、スポーツをやることはすごく楽しいと思う。いろんなことを学べることもたくさんあるので、野球に限らずいろんなスポーツを見てもらえたらいい」。金メダルへの使命感は内に秘める。「どっちに転ぶか分からないので、それより楽しみたいなと思います」。五輪を満喫した末に頂点が見える。【広重竜太郎】

▽甲斐(スタメンマスクが濃厚)「1球、1球を大事にしながら。(山本)由伸もしっかり準備してきているので、しっかりやるだけ」

▽坂本(無観客での開催に)「お客さんがこういう状況で入れない中で五輪が開催することになり、僕たち選手がテレビの前で見てくれている人たちに何かを感じてもらえるような、そういうものをチームとして出していければいいなと思います」

▽平良(登板経験がないマウンドを公式練習で確認せず)「その場で投げてみて、見るのと投げるのでは違うと思う。本番で感じるタイプなので」

▽山田(1番での起用が有力)「一番大きいのは本塁打。四球もそうですけど、とにかく出塁して、最初に生還、出来たらなと思います。1番打つか分からないですけどね」

▽千賀(田中将の助言を受けながら平地で約30分間、投げ込みを行い)「田中さんにいろいろ話を聞かせてもらっているので、いい時間を送れています」

<主なルール>

◆大会方式 1次リーグは参加6チームを世界ランクによりA、Bの2組に分け、各組3チームの総当たりで順位を決定。勝敗が並んだ場合は(1)直接対決成績(2)得失点率差(3)得自責点率差(4)チーム打率(5)コイントスの順で決定。順位に基づき、決勝トーナメントを行う。

◆試合方式 9回制。延長10回からタイブレークを行う。

◆タイブレーク 無死一、二塁から始める。

◆コールドゲーム 5回以降15点差以上、7回以降10点差以上(決勝と3位決定戦は適用しない)。

◆投球時間制限 無走者の場合、捕手の返球を受けてから20秒以内に投球しなければならない。

◆指名打者 採用。

◆リプレー検証 監督は映像によるリプレー検証を要求できる。

◆使用球 SSK社製。