2児の母で3大会連続出場の佐藤希望(35=大垣共立銀行)が3回戦で力尽きた。初戦の2回戦は世界ランキング8位の姜栄美(韓国)との接戦を15-14で制した。一時は10-5とリードしながら最後は肉薄されたが、ベテランの経験で逃げ切った。

佐藤は同42位だったが、前回16年リオデジャネイロ五輪の初戦でも格上と対戦し「相手がものすごく緊張していたのが分かった」。自身は12年ロンドン五輪に出場した経験で落ち着いて試合ができ、見事に突破。今大会も初戦でランキング上位の選手を食った。

8歳と4歳の愛息2人と夫は、無観客開催を受けて現地で応援することができなくなった。それでも「子供の感染リスクなど心配せずに集中できる、と切り替えて頑張りたい」。もらったお守りを携えて自国開催の大舞台に臨み、続く3回戦ではユリア・ベリヤエワ(エストニア)と戦った。

序盤から追う展開となる中で粘ったが、最後は9-14から同時ポイントとなって10-15。3度目の五輪はベスト16で幕を閉じた。ロンドン大会は2回戦敗退、リオ大会は8位。「少しずつ上がってきているので東京ではメダルを目指したい」と意気込んでいたが、夢はかなわなかった。女子エペは団体戦の出場権を得られなかったため佐藤の挑戦は終わったが、出産による2年間の育休や、新型コロナ禍による1年延期をへて大舞台に返り咲き、力は出し尽くした。【木下淳】