東京五輪を支える運営スタッフ内でアルバイトとボランティアが入り交じっている。20代アルバイトの男性が「上のユニホームは支給されますが、ズボンは自前です。ボランティアの方はグレーのアシックスを履いています」と明かした。ボランティアかアルバイトかは互いにわかる状態だという。同じような業務で、バイトは有償、ボランティアは無償。両者はどのように思っているのか。

ソフトボールの決勝が行われた神奈川県横浜市の横浜スタジアムで近くの路上で20代アルバイトの男性は歩行者に通行止めの説明を行っていた。「時給1200円で8時間勤務。いいバイトです」。別の20代男子大学生アルバイトは、選手の動線確保、会場内の消毒・清掃などを担当。「ボランティアの方とほとんど同じ業務です」ときっぱり。その上で「自分はお金のために働いているが、ボランティアの方達の姿や思いは尊敬している」と話した。

一方、無償で働くボランティアの人たちに不満はないのだろうか。40代の会社員の女性は「もともとお金目的で始めたわけではない。お金をもらっている人がいるのも仕方が無い」とあまり気にしていない様子。女性は海外に滞在した経験が生きるかもしれないと思いボランティアに応募。一般客の案内を行うはずだったが無観客開催で白紙となり、実際の業務は会場のボランティアの出欠確認となった。本来とは違う業務を担当することになったが「選手を支えたい気持ちや大会を成功させたい気持ちは変わらない」と前向きだ。60代男性は「実はボランティアだけがもらえるチョコやクッキーがあるんです。ささやかなご褒美がうれしい」と、わだかまりはなさそうだ。【沢田直人】