個人総合で日本勢同種目初の10代での金メダルを獲得した橋本大輝(19=順大)が、種目別鉄棒で15・066点を記録して金メダルを獲得し、2冠を達成した。

決勝独特の緊張感からか、同じ日本勢の北園丈瑠(18=徳洲会)らが相次いで落下する中で、安定感のある演技を披露した。「スペシャリストが集まる中でいつも通りを出すってことは難しいと思っていた。実際、今日の演技でも落下している選手が多くて、多くの選手が攻めてきている中で自分はなんか、いつも通り出すだけになってしまった。その結果、今日しっかり通し切れて金メダルを獲得できたのは大きな経験になった」と振り返った。

個人総合でも最高点をたたき出した得意の同種目。16年リオデジャネイロ五輪の内村航平に続く2冠を達成し、新たな「キング」誕生を印象づける東京五輪となった。

表彰式では国歌が流れ、マスクを着用しながら君が代を歌った。「結構歌っていたんですけど、それが伝わっていればいい。日本代表として演技だけではなくて、こういう国歌も歌って、代表としての誇りを持ってやっていこうと思いました」。

今後は王者として追われる立場になる。「追われる立場になるとは思うけど、そこは世界チャンピオンとして譲らず、気持ちもおごらず、しっかり自分の理想の演技を突き詰めて、また世界一を取り続けていきたい」と、新たな決意を示した。

体操を始めた佐原ジュニアは、千葉県香取市の山あいにある沢小学校の体育館に器具を置いている。廃校となった場所で2人の兄と毎日練習に励み、限られた環境の中で体操の楽しみを覚えた。

中3の全国大会では骨折した影響で2種目しか出られず、107位の最下位になるなど無名だったが、市立船橋高で頭角を現した。今年4月の全日本選手権では初優勝。日本体操界の中心に登り詰めた。