16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)銅メダルの永瀬貴規(27=旭化成)が決勝でモラエイ(モンゴル)を下し、金メダルを獲得した。

試合は延長(ゴールデンスコア)に突入し、5分43秒、足車で技ありを奪って優勢勝ち。2度目の五輪で金メダルを手にし「ボクの長所というのは、気持ちで折れずに最後まで攻め抜く姿勢だと思う。今回はそれを出せてよかったと思います」と振り返った。

2回戦から決勝まで5試合中4試合が延長にもつれこんだ。相手のスタミナを削り、最後に仕留める展開で金メダルを勝ち取り「前回のリオ五輪で悔しい思いをして、それからつらい時間が多かったですが、このためにやってきて良かったと思います」と感慨に浸った。17年世界選手権で右膝靱帯(じんたい)を損傷。人生初の手術を受け、約1年のリハビリを経て18年秋に実戦復帰した。結果が出ずに苦しんだ時期を耐え、地道にはい上がってきた。

「過去の自分に腐らずに1つ1つを超えていこう」と、自らを奮い立たせて稽古に励んだ。本来の粘り強い柔道を徐々に取り戻して、19年全日本選抜体重別選手権から5連勝。18年世界選手権銀メダルの藤原崇太郎(旭化成)との五輪代表争いを制した。

同階級では、00年シドニー五輪の滝本誠以来となる日本勢の金メダル。日本男子は初日の60キロ級を皮切りに4階級連続の金メダルとなった。「五輪の借りは五輪で返す」と臨んだ2度目の夢舞台で、27歳の柔道家が雪辱を果たした。

◆永瀬貴規(ながせ・たかのり)1993年(平5)10月14日、長崎市生まれ。6歳から柔道を始める。長崎日大高-筑波大-旭化成。15年ワールドマスターズ大会優勝、同世界選手権優勝。16年リオ五輪銅メダル。19年GS大阪大会優勝。21年GSタシケント大会銅メダル。世界ランキング13位。右組み。得意技は大内刈り、内股。趣味は温泉。好きな食べ物はヨーグルト。好きなタレントはくりぃむしちゅー。家族は両親と兄と姉。181センチ。