23日の開幕まで約2週間しかない東京オリンピック(五輪)の観客数を最終決定する大会組織委員会、東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)の5者協議が8日夜、都内の組織委オフィスを拠点にオンラインで開催された。

東京都への4度目の緊急事態宣言が発令が決まったことを受け、五輪の都内全会場が無観客になった。これを念頭に、続く埼玉や千葉など会場を持つ県との関係自治体等連絡協議会の冒頭では組織委の橋本聖子会長(56)がチケットホルダーなどに謝意を示した。

「本来であればスタジアムが満員となり、スポーツの力を発揮するまたとないチャンスでした。しかし、極めて限定的な大会になることは大変残念。チケット購入者、地域の方には申し訳なく思っておりますが、日本や世界の方々に大会の理念を届けられるようにしていきたいと思っております」

こう述べて頭を下げた。

5者協議の冒頭あいさつでは、この日正午すぎに来日したIOCトーマス・バッハ会長を歓迎し「お待ちしておりました」。最低でも都内の無観客開催が避けられない情勢の中で「これ以上の感染防止には、強くてわかりやすいメッセージが必要。これから始まる5者協議で、非常に困難な決断を行うことになります」と無観客を覚悟して言葉に力を込めていた。

開催に向けては「全ての方々が安心安全に参加いただけるための感染防止策を考えて参りました。実例と対策を研究し、専門家のラウンドテーブル等においても、感染の可能性は相当程度に低く抑えられること、人流も、海外からの観客断念や夏休み期間であることを考えれば、通常よりも低いことが示されました」と努力を重ねてきたことを強調し、待たせ続けた関係者への申し訳なさ、この日の最終決定への悔しさをにじませていた。【木下淳】