国際オリンピック委員会(IOC)理事会後、トーマス・バッハ会長(67)が都内のメインプレスセンター(MPC)で会見した。

東京都に緊急事態宣言が出ている中、この日、選手村での初陽性者が判明した。逆風が吹く中での大会について、バッハ会長は日本人への協力を求めた。「困難を乗り越えてきたアスリートを称賛するし、日本の皆さんも称賛したい。この厳しい状況下で(開催準備を)達成したことを称賛したい」。続けて「日本の方々に謙虚にお願いしたいのが、このコロナの経験をアスリートと共有してほしい。アスリートも乗り越えて日本に来た。日本の人々は五輪が始まれば歓迎し、サポートしてくれると信じている。1964年の東京大会からそうだった」と語った。

冒頭あいさつは20分超のノンストップ。「(大会延期をへて)15カ月の遅れはあったが、やっとこうして対面式で皆さんに会うことができた。とてもうれしく思っている。昨日は重要な1日であった。五輪休戦決議の初日で、感動的な広島への訪問をさせていただいた。広島市、広島県、知事と副市長、県議会議長も集まってくださり、被爆者の梶矢さんのお話には大変感銘を受けた。最初におっしゃったのは悲劇ではなく、悲惨な経験ではなく、五輪への支援の言葉を真っ先にくださった。今日まで感動の気持ちを抱いている。資料館も訪れ、身も引き締まる思いだ」と振り返った。

その上で「身が引き締まった思いの今、約束する。我々も平和の大使になる」と宣言。「7月1日から16日まで1600名ほどの選手、関係者、メディアが日本に到着した中で15人しか陽性になっていない。わずか0・01%だ」と感染対策に問題がない認識を強調した。【木下淳】