女子サッカー取材のため、19日に普段勤務する大阪から札幌に入った。タクシーの運転手は「五輪をやる感じが全然しないね…」と言い、無観客の札幌ドーム周辺も静かだった。試合日以外の取材はオンライン。「寂しいけれど、仕方がないな…」。仕事をしようと繁華街すすきの付近のカフェに入った時、店内のパネル写真が目に入った。

18年平昌五輪スピードスケート女子団体追い抜きで金メダルを獲得した高木美帆ら、4人が笑顔で納まる写真だった。近くの百貨店入り口には16年リオデジャネイロ五輪の競泳・池江璃花子が写る1枚。少し散歩してみると、次々と表情豊かな選手の写真が見えた。

仕掛けたのは札幌四番街商店街。大通とすすきのを結ぶ一本道は、五輪との縁がある。72年札幌五輪に合わせて、地下鉄南北線が開通。四番街商店街がある地上の「駅前通り」も道幅が36メートルに広がった。今回の五輪ではマラソン、競歩のコースの一部となっている。

新型コロナウイルスの影響で今月開催予定だった「四番街まつり」は2年連続中止。暗い話題が続くが「自分たちの街で五輪がある。何か後世に伝えられるものはないか」と知恵を絞ったという。期間は8月8日まで。マラソンや競歩の沿道応援もできないコロナ禍だが、道行く人に何かが残れば、と願う。【松本航】