東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は29日、五輪開会式(23日、国立競技場)に出演を予定していた俳優竹中直人(65)が、80年代に障がい者をやゆする映像表現を行っていたため、前日22日に自ら出演を辞退していたことを認めた。

高谷正哲スポークスパーソンが「竹中直人さんの件につきましては、開会式の直前に、過去に演出に関わった作品の中で不適切なものがあったことをご自身が熟慮されて、ご辞退されたいとの申し出があり、組織委が受け入れた。最終的に出演しないことになったことが、経緯になります」と回答した。

組織委関係者によると、竹中は開会式で女優真矢ミキとともに、木やりうたとダンスのパフォーマンスに参加して大工の棟梁(とうりょう)役を務める予定になっていた。

開会式を巡っては、冒頭の音楽を担当していた小山田圭吾氏が学生時代の障がい者いじめ告白が炎上して19日に辞任。総合的に演出を手掛けていた元お笑いコンビ、ラーメンズの小林賢太郎氏もユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をコントのネタにしていた過去で式の前日22日に解任されていた。この流れで竹中は自ら降板を申し入れたという。

高谷氏は竹中の出演予定部分は明らかにせず「最終的に皆さんがご覧になったものが開会式」とし、新たな辞退者が出たことに関する組織委の受け止めとしては「現在の状況では避けられない判断だったのではないかと考えております」と所感を述べた。【木下淳】