東京五輪の金メダルを目指すサッカー男子日本代表は、12日午後7時半から北中米カリブ海予選2位の難敵、ホンジュラス五輪代表との強化試合(大阪・ヨドコウ桜スタジアム)に臨む。11日は試合会場で最終調整。本番に向けて緊張感が高まる中、MF堂安律(23=PSV)がエースナンバーの10番を背負う責任感とともに、チームを引っ張る覚悟を口にした。

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自国開催の五輪で、重みのある10番を背負う。堂安は「世代の中心となる存在でなくてはならないという、責任感もある。期待に応えられるよう頑張るだけ」と言葉に力を込めた。U-16を皮切りに同世代の先頭を走り続けてきた。18歳だった17年5月のU-20W杯韓国大会では、チームは16強止まりながら名前を売り、オランダ1部フローニンゲンへの海外移籍を勝ち取った。森保ジャパンがスタートした18年1月のアジア杯からA代表の主力。満を持して五輪世代の中心選手としてひのき舞台に立つ。

6月の活動から10番をつける。「自国で五輪開催は生きているうちにあるかどうか。サッカーにおいては世代の運も重なる。プレーできて、10番は奇跡としか言いようがない。ロッカールームに入って10番を見ると、緊張感もある」。自身が背番号10と聞いて思い浮かべるのは香川真司の姿だ。「まさに日本を引っ張ってきた先輩。彼のような重要な選手になりたい」と現状に満足することはない。

昨季はPSVからブンデスリーガのビーレフェルトに期限付き移籍した。中央での起用にも応えつつ、「もっと(本職の)右サイドでも使ってほしい」と監督にも主張し、チーム内での地位を確立した。体格で劣っても懐に潜り込むような得意のドリブルは通用すると自信も得た。「良さをよみがえらせることができた」と、欧州5大リーグで得た手応えは大きい。

五輪は無観客開催だが、ホンジュラス戦は上限5000人の有観客で行われる。「スポーツの力はすごい。感動を僕たちも表現しないといけない。少しでも国民のみなさんに伝えられるように」。東京世代の先頭を走る男が、勝利を持って「堂安ここにあり」をアピールする。【岡崎悠利】