東京五輪前のラストマッチで、優勝候補のスペインに泥臭く戦い続け引き分けた。日本代表の森保一監督(52)は「粘り強く戦い、得点のチャンスをうかがう戦い方をやってくれた。金メダルの目標の中、多くの選手がレベルの高い相手との経験ができた」と振り返った。

これまではボールを保持し主導権を握って戦ってきたが、個の技術が高いスペインには守備に追われる時間が長かった。プレスをかけてもいなされ、ピッチの選手たちの判断で割り切ってブロックを敷いた。その中でもカウンターの刃をしのばせ、狙った形で得点。「理想と現実の状況を把握しながらコミュニケーションを取ってやってくれた」と、A代表でも強調してきた「臨機応変」をピッチで体現した選手たちに手応えを口にした。

東京五輪世代の活動は17年12月にスタート。19年11月に、海外組も含めたメンバーでコロンビアと対戦し完敗。試合後に指揮官が「我々が持っている目標(金メダル)が私だけのものなのか」と叱咤(しった)した。あれから2年。3月にはアルゼンチンに善戦し、6、7月の国際親善試合で勝ちながらチーム力を上げてきた。森保監督は「メンタル的にもフィジカル的にもたくましくなっている」と目を細める。22日に南アフリカとの初戦を迎える。「粘り強く戦いながら、攻撃も勇気を持ってトライしてということができれば、必ず結果が出ると思います」。優勝候補との対戦で出た課題を修正し、金メダルへと向かう。

◆東京五輪サッカー男子の大会方式 1次リーグは16チームが4組に分かれて行い、各組上位2チームが準々決勝に進む。各組の順位は(1)勝ち点(2)得失点差(3)総得点の順で決め、それも並んだ場合は当該チーム間の勝ち点、同得失点差、同総得点、全試合の反則ポイント、抽選の順で決める。準々決勝からは90分で同点の場合、30分(前後半各15分)の延長戦を行い、それでも決着がつかない場合はPK戦を行う。