サッカー男子南アフリカ代表に敬意を表したい。サッカー競技で真っ先に、コロナの猛威にさらされた。今大会は最大22人の登録が可能だが、17人で中2日の3連戦。1次リーグ全敗で敗退に終わったが、その戦いぶりは想像以上だった。試合開催可否が当日決まるという混乱のまま突入した日本との初戦こそ引いて守ったが、続くフランス戦では3得点。もし準備がしっかり整っていたなら、日本戦の結果も違っていたかもしれないと感じた。

選手2人、スタッフ1人が陽性となり、18人が濃厚接触者と判定されたのが18日。日本戦の22日まで、練習取材に向かう際、気が引ける思いも正直あった。ワクチン接種を終え、屋外で距離をとっているとはいえ、チームを目の前にして感染リスクを全く感じずにいられたわけではなかった。ノトアネ監督が日本戦後に語った「時々、人々が近くにきて、姿を見ると走っていってしまった。少しリスペクトに欠ける。コロナとはある意味共存しなければならないし、誰にだって起こりうること」の言葉に、考えさせられた。

その後は対策を徹底し、最後までそれ以上の陽性者を出さなかった。28日のメキシコ戦で点差が離れても走り続ける姿はまさに「アフリカのライオンの魂を持って戦う」という指揮官の言葉通りだった。この五輪は、コロナ禍を乗り越える姿をアスリートがさまざまな形で見せてくれる場でもある。冬の母国から来日した南アの不屈の精神に心を動かされた。【岡崎悠利】