68年のメキシコ五輪で銅メダル獲得の立役者となった釜本邦茂氏(77)が2日、東京五輪代表チームに「釜本超え」を願った。

「もう53年もたったんだから、え~かげん超えてもらわんと。サッカー協会はW杯ベスト8に入ると目標を掲げているけれど、オリンピックでメダルをとることだって、大したもんですよ。頂点に立ってほしい。最近の代表選手は外国に比べて年もいきすぎている部分もある。次のカタールW杯では、この中から5、6人が主力になってくれるくらいじゃないと」

11年、東日本大震災に見舞われた日本に明るい吉報を届けたのは、同年女子W杯初優勝のなでしこジャパンだった。男女は違えど、当時はエース澤穂希が釜本氏の日本代表通算得点記録(75得点)も超えた。

「今回はコロナ。競技場で見られる人はいなくなってしまったけれど、テレビでみんなが応援してくれている。男子の若い力で、日本のうっぷんを晴らしてほしい。閉じこもった状況の大きな力になる」

3日のスペイン戦については、速さのあるFW陣とラストパスを送るMF久保をキーマンに挙げた。

「いかに相手DFの裏に抜け出せるか。スローテンポでは勝負にならない。林、相馬、前田あたりのスピードに期待。久保の存在がものすごく大きい。スルーパスも出せるし、試合を決める自覚と自信が出てきたように見えますよ」

釜本氏は64年東京五輪に久保と同じ20歳で出場。初戦のナイジェリア戦でハットトリックし、7得点で得点王に輝いた68年メキシコ五輪は24歳だった。「彼らは金を狙っていますよ」と期待を寄せた。【鎌田直秀】

◆釜本邦茂 かまもと・くにしげ。1944年(昭19)4月15日、京都市生まれ。山城高-早大-ヤンマー。日本代表通算75得点(76試合)は歴代1位。ヤンマーでは7度の日本リーグ得点王と4度のリーグ優勝。G大阪初代監督を務め、日本協会でも副会長などを務めた。05年日本サッカー殿堂入り