新競技のサーフィン女子で、都筑有夢路(あむろ、20)は銅メダルを獲得した。

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競技を終えて、背中に日の丸の旗をかけられた都筑が涙を流した。「めちゃくちゃうれしい。頑張ってきたのがつながった。夢を見ている気分。信じられない気持ち」と声を震わせた。

最下位から勝ち進んだ。25日の1回戦で相手の演技を妨害して波に乗ったとして反則を取られた。4人1組の1回戦は各組1、2位が3回戦に進み、各組3、4位は2回戦に回る。最下位だった都筑は2回戦から再出発。強豪を次々と破って銅メダルを手にした。

台風の影響で3位決定戦の海は大きく荒れていたが「気合です」と強気に攻めた。「どれが良い波か分からない中でも決めるしかない」と臨んだ3本目。波の崩れ際で板を切り返し、落下しながらターンに成功した。終盤は優先権を生かし、相手を良い波に乗せないようにして逃げ切った。

順風満帆ではなかった。中3からプロとして活動し、翌年から海外を転戦。だが、なかなか勝てなかった。スポンサーを見つけられず競技を続けるのにも苦労した。結果が出ない悔しさもあり、やめたくなったこともある。昨年は新型コロナウイルス禍で試合がなくなり心が揺れた。

苦難な時期に家族や信頼を寄せるトレーナーに支えてもらった。「『努力さえしていれば、いつか返ってくるから大丈夫』と掛けてくれて。その言葉が今も自分の支えになっています」。長期の海外遠征には母が同行。身の回りの献身的なサポートがあったからこその銅メダルと感謝する。

小学5年のとき、自宅近くの神奈川・鵠沼海岸でサーフィンを始めた。通信制の鹿島学園に入学後に移り住んで、休まず通ったのが五輪会場の釣ケ崎海岸だった。「自分がメダルを取ったことで、サーフィンを知ってもらえたらうれしい」。24年のパリ五輪では、もっと良い色のメダルを目指す。【平山連】