男子シングルス4回戦で日本のエース張本智和(18=木下グループ)が、スロベニアのダルコ・ヨルギッチ(22)に3-4で敗れた。初の五輪は16強で終わった。

丹羽孝希(26=スヴェンソン)も16強で敗退し、男子シングルスは終戦。前日、混合ダブルスで日本卓球界初の金メダルを獲得した伊藤美誠(20=スターツ)は女子シングルス3、4回戦を勝ち抜き、石川佳純(28=全農)とともに8強入りした。

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涙なき敗戦。バック対バックの真っ向勝負で負けた。「今日は力負け。相手のバックが強いと分かっていたから練習でも対策したが、試合ではさらに強く、調整することができなかった」と納得した。 張本は世界ランキング4位、ヨルギッチは同28位だが、新型コロナウイルスの影響で国際試合がほぼ行われなかったため実際、相手の実力はこの間に伸びていた。 張本もバックハンドが得意な選手だが、この日はヨルギッチが上回った。倉嶋洋介監督から「相手がバックを打てないところを狙っていこう」と指示が飛んでいたが「1球目から相手のバックが強くて、徹底することが難しかった」と語った。 これまではトーナメント序盤で敗戦すると涙し、感情を表に出していた張本だが、この日は涙はない。その理由について「2、3ゲーム目を取られた時、今日は負けるかもしれないと思った。相手の強いバックに勝るものが自分には何があるだろうとも考えた」と振り返る。 日本協会の宮崎義仁強化本部長は「精神力を強くしてほしい。倉嶋監督の指示を徹底するには、きわどいコースを狙う勇気が必要。今日の張本は置きにいっていた。コースが1メートル甘くなれば簡単に返されてしまう」と分析した。 しかし、五輪は終わったわけではない。団体戦へ向け「シングルスでは負けたが、団体戦では金メダルを目指す。今日は悔しいが切り替えて、良いプレーをしたい」と前を向いた。【三須一紀】