錦織圭(31=日清食品)、マクラクラン勉(29=イカイ)の“べんけい”ペアが、世紀を超えた。男子ダブルス2回戦で2人合計ツアーダブルス30勝を誇る第7シードのJ・マリー(35)、スクプスキ(31=ともに英国)組に6-3、6-4で勝ち、8強に進出。五輪で日本男子ダブルスが2勝をあげたのは、1920年アントワープ大会で銀を獲得した熊谷一弥、柏尾誠一郎組以来101年ぶりとなった。世界2位の大坂なおみ(23)は順当に3回戦に進出した。

101年ぶりの勝利を決めたのは、錦織のボレーだった。4大大会でダブルスには絶対に出ない。年に出るのも、調整を兼ねた2、3大会だけという錦織だが、実はダブルスもうまい。「好きだし、フロリダでダブルスの練習もしっかりしてきた」。その努力が、ダブルス専門のマクラクランとかみ合った。

相手に握られたブレークポイントも1度だけ。試合前に、錦織はマクラクランに「全部、リターンウイナーを狙う」と冗談を言うほど好調だ。マクラクランも「試合をするごとにアジャストできた」と、専門家らしく相棒を引っ張った。

錦織が20年から指導を受けるミルヌイ・コーチは12年ロンドン五輪混合金メダル、4大大会ダブルス6勝とダブルスの名手だった。「いろいろな選手を知っているので、多くのアドバイスをもらっている」。ダブルスで多用するネットプレーは、シングルスにも生きている。

錦織は25日のシングルス1回戦で世界7位のルブレフ(ROC)を撃破。同一五輪で単複ともに勝ったのも、24年パリ五輪に出場した福田雅之助、原田武一、岡本忠の3人以来。当時と比べても、単複の分業化が進んでおり、現在の男子では貴重な勝利となる。

この勢いを27日のシングルス2回戦につなげる。世界65位のギロン(米国)とは初対戦。男子ダブルス101年ぶりの勝利を胸に、シングルスも2連勝を引き寄せる。