糸数陽一(30=警視庁)は惜しくもメダルを逃した。

16年リオデジャネイロ五輪に続く4位。沖縄で「神の島」と呼ばれる久高島生まれ。島民200人ほどの小さな島の自然で培った肉体で、母国でバーベルを挙げた。「約15年間やってきて、すべての思いをぶつけたい。リオでは4番、悔しい思いをしたので、しっかりメダル獲得をしたい」と誓った集大成の舞台で、悲願の表彰台には届かなかった。

スナッチの1本目130キロでいきなり尻もちをついて失敗した。「コロナの前は体調も調子も良くて、このままなら最高のパフォ-マンスが出せると思っていた。コロナの影響で伸びて、年齢も今年30になった。少し痛いところも増えてきた。減量も苦しくなってきた。1年は長かった」。そう語っていた現状の苦しさがにじむようだった。

だが、そこで折れなかった。続く2本目で130キロを挙げると、3本目は「うーりゃ!」と133キロを挙げて、スナッチを終えて3位。ジャークも一本目の158キロを落としてから、1キロ増やした159キロを成功させる意地の1本。3本目は162キロを選び、挙げればメダルに近づく1本で、失敗となった。

「沖縄の方々や、たくさんの人に支えられて、15年目。苦しい中でもたくさんの応援が活力になり、この舞台に立てました。恩返しの意味を込めて最高のパフォーマンスをしたい」。力いっぱい戦った。