男子グレコローマンスタイル130キロ級のミハイン・ロペスヌネス(38=キューバ)が、男女の個人種目で全競技を通じて史上6人目となる4連覇を達成した。ヤコビ・カジャヤ(27)に1得点も与えない完勝劇。

4大会連続で開会式の旗手を務めたキューバの英雄が、同階級の霊長類最強と呼ばれたアレクサンドル・カレリン(ロシア)も成し遂げられなかった偉業を達成した。

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5-0で迎えた、第2ピリオドの残り時間10秒。4連覇が決定的な展開になると、ロペスヌネスは組むのを止めた。相手もそれに合わせるように距離を取ると、反撃はしてこない。誰もが認める偉業達成。レフェリーが両者に組み合うのをうながすのをよそに、マットの上で陽気に踊って喜びを爆発させた。霊長類最強と呼ばれたカレリンを超えた男は「歴史をつくることができて誇りに思う。素晴らしいことを成し遂げられた」と分厚い胸を張った。

04年アテネ大会から5大会連続での出場だ。10歳から競技を始め、22歳で迎えた同大会こそ5位に終わったが、その後にめきめきと成長。これまでに世界選手権を5度制覇するなど、同階級の第一人者となった。また、4大会連続で開会式の旗手を務めるなどし、大会前には「4大会連続のオリンピック金メダルを獲得する」と宣言して有言実行。名実共にキューバの英雄となった。

「東京で引退するのは決定的」と公言していたが、試合後は「イエスかノーかは言いたくない。ただ、みんなには『ミハインは生きている』と言いたい」と進退について明言を避けた。辞めるにせよ、続けるにせよ、同階級のカレリンが00年シドニー大会で挑戦するも達成できなかった4連覇で、自らの価値を大きく高めた。

◆ミハイン・ロペスヌネス 1982年8月20日、キューバ・ピナルデルリオ生まれ。10歳から競技を始め、04年アテネ大会から5大会連続出場。08年北京大会から4大会連続で開会式の旗手を務める。世界選手権は5度優勝。195センチ、130キロ

◆個人種目の夏季五輪4連覇 P・エルブストロム(デンマーク)ヨット男子フィン級=1948~60年 A・オーター(米国)陸上男子円盤投げ=1956~68年 C・ルイス(米国)陸上男子走り幅跳び=1984~96年 M・フェルプス(米国)競泳男子200m個人メドレー=2004~16年 伊調馨(日本)レスリング女子58キロ級=2004~16年