19年世界選手権銀メダルの向田真優(24=ジェイテクト)が決勝進出を決めた。準決勝で同銅メダルのバトオチル(モンゴル)を6-3で下した。タックルで組みついてもテークダウンを取らせない粘りに手を焼いたが、第2ピリオドでも仕掛けて、1分過ぎに右足に食い付いた。4-0と引き離して勝負を決めた。1年半ぶりの国際大会だったが「不安はまったくない」と3試合を勝ち抜いた。

以前は、3週間前からは減量で調整練習しかできなかったが、「1年かけて体を作ってきた」。今回は1カ月かけて絞り、直前まで実戦感覚を養えた。三重県出身の吉田沙保里が3連覇した階級で、リオで吉田が届かなかった頂点まであと1勝に迫った。

セコンドについた志土地翔大コーチ(34)と19年10月に婚約した。当時は至学館大4年生。指導者と教え子の関係に、周囲からは批判も受けた。ただ、2人でこの舞台を目指す決断を貫いた。昨年から東京に拠点を移し、仕上げてきた。

準決勝後には「もっといけたんじゃないか」と課題を指摘された。自身も同じ修正点を感じていた。「次の試合は相手の背中がつくまでぶつかって倒したい」と見据えた。そして、続けた。「金で終わらせて、翔大コーチの首にかけられるように」。【阿部健吾】

◆向田の得点経過◆

第1P

40秒 向田がバトオチルを場外に出して1得点

1分13秒 消極的姿勢を取られてバトオチルにアクティビティタイムが課される。

1分44秒 バトオチルはアクティビティタイムで得点できず、向田に1得点。

第2P

1分20秒 向田が片足タックルからバトオチルのバックを取って2得点。

1分33秒 向田がローリングを決めて2得点。

2分46秒 向田の反則でバトオチルに1得点。

2分59秒 バトオチルが向田のバックを取って2得点。