前々回は欧州サッカー連盟に所属するクラブNO.1を決める大会の、前回はアジアサッカー連盟に加盟するクラブのNO.1を決める大会の賞金額を見ました。今回は南米サッカー連盟に所属するクラブNO.1を決める大会、コパ・リベルタドーレスの賞金面をみてみたいと思います。

「リベルタドーレス」はスペイン語で「Libertadores」とスペリングされており、ラテンアメリカの独立戦争に尽力した人々を称える称号で“自由”を意味する「Liberta(リベルタ)」に由来し、“解放者達”と言った意味を持ちます。頭についている「コパ」はカップ(杯)を意味しておりますので、コパ・リベルタドーレスはいわゆるリベルタドーレス杯ということになります。この大会の名称のリベルタドーレスは19世紀のラテンアメリカ諸国における独立運動の指導者を指し、南米諸国の独立運動の指導者たちと国民の歴史に対する敬意が込められていると言われています。

大会自体は1948年に南米クラブNO.1を決めるための大会(カンペオナート・スダメリカーノ・デ・カンペオネス)が開かれたものの、交通手段や各国のスケジュールなどの問題もあり定期的に開催されるまでにいたらなかったようです。その後欧州でチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)が開催されたことや、ヨーロッパ側から大陸間でのチャンピオン同士のマッチ提案があったこともあり、1960年から定期的に開催されるようになったようです。現在の大会はチャンピオンズリーグ同様、各国リーグの成績上位クラブが出場する形になっており、最多優勝回数を誇るのはアルゼンチンのインデペンディエンテで7度。続く形でボカ・ジュニアーズが6回、ペニャロールが5回と続きます。

2022年大会は南米サッカー連盟に加盟する10カ国から合計47チームが出場しており、ヨーロッパのチャンピオンズリーグ同様、下位からの出場チームは予選があります。予選通過後、4チーム1グループに分かれた合計8グループによるグループリーグがあり、それぞれ上位2チームが決勝トーナメントに進みます。決勝戦のみ一発勝負で、それ以外はホーム&アウェイという、CLと同じフォーマットで行われます。

賞金面でヨーロッパと違うのは個人賞が設定されているところと、勝ったらいくら、ではなく敗退でいくらという配分方式になっているところでしょうか。個人賞では得点王、トーナメントベストプレーヤー賞、フェアプレー賞にそれぞれ5万ドル(約625万円)が設定されております。そして“敗退でいくら“の部分ですが、予選リーグでは、ファーストステージ敗退チームには35万ドル(約4375万円)が支払われます。予選セカンドステージ敗退チームには50万ドル(約6250万円)が支払われ、そして予選サードステージ敗退チームには55万ドル(約6875万円)が支払われます。この時点で勝ったチームには賞金配分はありません(ここがヨーロッパと違なる)。賞金配分という意味合いで行けば、8グループで争われるグループリーグ進出チームには一律で全チームに300万ドル(約3億7500万円)が支払われます。そして決勝トーナメント1回戦敗退チームは105万ドル(約1億3125万円)を手にすることができ、ベスト8敗退で120万ドル(約1億5千万円)が、そしてベスト4敗退で175万ドル(約2億1875万円)が支払われます。決勝敗退チームは600万ドル(約7億5千万円)が手に入り、優勝したチームには1200万ドルが支払われる形になり、これは日本円で約15億円になります。グループステージから参戦して優勝すると、1500万USD(約18億7500万円)を獲得することができるということになります。

欧州チャンピオンズリーグではグループリーグで勝利給・引き分け給があり、一つステージを勝ち上がる毎に賞金が設定されていますが、コパ・リベルタドーレスでは異なります。やはり放映権が世界中で売れていないということなのか、集められているスポンサー金額そのものがそこまで高額ではないということなのか、当然ながら欧州の大会規模とは大きな差があります。しかし、欧州のクラブにとってみても選手発掘という観点から、非常に大切な大会であることは間違いないなく、この大会で活躍して欧州にチャレンジしている選手が多く存在していることは間違いありません。今後も大会での活躍選手には注目です。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」