ジュビロ磐田のFW小川航基(20)が、完全復活を目指して闘っている。

 鹿児島キャンプ中の1月31日に行われた東海大熊本との練習試合で、途中出場から約10分間プレー。左膝前十字靱帯(じんたい)損傷及び外側半月板損傷の大けがを負った昨年5月のU-20W杯以来、252日ぶりに実戦復帰を果たした。

 その後も、4戦4発と結果を残した。2月26日に行ったJ3富山との練習試合では、復帰後最長となる60分間プレー。名波浩監督(45)も「もういけると思う」と、GOサインを出した。以前から公式戦復帰の舞台として照準を合わせてきた。そんな中、患部に痛みが再発。再び別メニュー調整を余儀なくされた。

 悔しさを押し殺してリハビリに励む小川航の姿に、かつて本人から聞いた言葉を思い出した。

 「ストライカーとしてやれるの自分しかいないと思っているし、そのプライドを捨ててはいけない。五輪に出る、出ないでは人生も変わる。もう1度、“点を取るのは自分だ”というところをジュビロで見せて、代表に戻りたいです」

 この強い思いが、つらいリハビリを支える1つの原動力になったのだろう。

 金4、銀5、銅4と日本選手が史上最多13個のメダルを獲得した平昌五輪が幕を閉じ、五輪のバトンは2020年夏季東京大会に引き継がれる。同年代のエースとして戦ってきた小川航も、平昌五輪のメダリストのように輝いてほしい。だが、今は、焦らないでほしい。勝負は2年後。それまで1歩ずつ、しっかりと歩みを刻めばいいのだから。


 ◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。一昨年までは高校サッカーを取材し、昨年から磐田担当。