湘南に勝利しガッツポーズするG大阪宮本恒靖監督(2018年11月10日撮影)
湘南に勝利しガッツポーズするG大阪宮本恒靖監督(2018年11月10日撮影)

川崎Fが連覇を達成し、鹿島がACL初制覇した10日、G大阪がJ1残留を決めた。一時は最下位に落ち込むなど苦境に立たされてきたが、8連勝で残留が決定。宮本恒靖監督(41)就任後は試行錯誤して残留のためにあらゆる手を尽くしてきた。

以前、宮本監督が1度味方に付けた運を離さず、とにかく勝利にこだわっている、というコラムを書いた。ゴールポストに助けられた清水戦後にポストをなでて感謝したことと、さらにもう1つ、試合前のコイントスに思いが込められていることを書いた。

最近のG大阪は試合前のコイントスで勝てば、前半に攻めるゴール、いわゆるエンドを変えている。ルール上、主将がコイントスに勝利したらエンドを変えるか、変えないかを選択することができる。言い換えれば、コイントスに勝たないとエンドは選択できない。通常は、前半はアウェーサポーターのいるゴール側に攻め、後半は自分たちのサポーターのいるゴール側に攻めることが多い。だが、G大阪は逆にしていた。

宮本監督の就任当初、後半に失点することが多く勝ち点を逃してきた。そこで、エンドを変えることで後半は最終ラインの後ろからガンバサポーターの後押しを受けることができ、相手に攻められた時、サポーターの声ではね返す、という利点があった。

始めたのは、8月19日アウェー仙台戦から。その前節札幌戦はリードしながらも後半ロスタイムに追い付かれていた。コイントスに臨むのはゲーム主将の日本代表DF三浦弦太(23)。仙台戦、無事コイントス勝利でエンド変更。続く、鳥栖戦も勝利。川崎F戦、神戸戦、清水戦、広島戦…そして前節、残留を決めた湘南戦まで。なんとコイントス10連勝でエンドを変更した。

川崎F戦からはチームも8連勝で、エンドを変えなくても白星をつかむことができるほど自信をつけたはずだが、今は験担ぎの1つでもある。あまりにもコイントスに強いので直接三浦に「本当に勝ってるの?」と聞いてしまった。もちろん答えは「本当に勝っている」。

ちなみに、コイントスで10連勝する確率は2の10乗分の1。要するに1024分の1で、約0・0977%。ものすごい運を使っている気がするが、日本代表センターバックは「運を使ってでも残留できて良かった」と、男前な返答だった。

連勝記録を更新中のG大阪は、次節の長崎戦でクラブタイ記録の9連勝に挑む。21年ぶりの連勝記録も注目されるが、三浦のコイントス連勝記録もどこまで伸びるのか、楽しみだ。【小杉舞】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。担当クラブはG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。

サポーターにあいさつするG大阪ゲーム主将の三浦弦太
サポーターにあいさつするG大阪ゲーム主将の三浦弦太