4月1日。川崎フロンターレが、衝撃のツイートをした。タイトルは「谷口彰悟選手 転職のお知らせ」。

「川崎フロンターレ所属の#谷口彰悟選手が、ダイレクトスカウトを受け、俳優業へ転職することになりましたのでお知らせします。すでに、CM出演、主演ドラマ#おフロ刑事、1st写真集#時をかけるの販売が決定しています」。クラブ、Jリーグきってのイケメンが、華麗なる転身? かと思いきや、これはエープリルフールのネタだった。

フェイクの投稿には、リアルな“ネタ”があった。クラブは同日、株式会社リクルート(リクルートダイレクトスカウト)と22年シーズンのオフィシャルパートナー契約を締結したことを発表。クラブの担当者・鈴木拓輝さんは、リクルート社のサービス内容である「転職」、サービス名の「スカウト」に注目。4月1日に発表予定だったこともあり、エープリルフールネタと絡めて何かできないかと、検討を開始した。「谷口選手は、日頃から『イケメン』『俳優みたい』と言われていた。これは話題になる」。現役選手がスカウトを受け、転職する形を取ろうと、3月から急ピッチで準備に取りかかった。

3月24、29日はW杯アジア最終予選(対オーストラリア、ベトナム)があった。谷口が日本代表のメンバーに入れば、直前の合宿などで、クラブから離れることになる。鈴木さんは「代案は用意していなかった」と攻めた。谷口が代表に招集されると見越し、代表のスケジュールを逆算しながら、事を進めた。

J1王者らしく? 細部まで工夫を凝らした。ツイートの続きには、「なお、空いた谷口選手のポジションに関しては、現在、転職サービスを通じて人材募集をかけております」と募集要項を掲載。「髪色自由」など、リクルート社で使用する本物の素材を活用した。

「おフロ刑事」の写真は、クラブハウス内で撮影。鈴木さんは「最初は谷口選手も難色を示して、いやいや、という感じだったんですけど、撮影を始めると、もうプロの表情で。さすがだなと思いました」と笑った。「お蔵入りの写真もあって、本当に写真集出してもいいんじゃないか、と思っています」。ファンにとっても、たまらないショットがまだ眠っている。

鈴木さんが驚いたのは、その反響だった。今回の“仕掛け”は、同日の午前9時に投稿。12時間後の午後9時の時点で、クラブの歴代2位となる256万のインプレッション数をマークした。インプレッション数は、数が多ければ、多いほど、そのツイートを見たという数字。歴代1位は、424万を記録した中村憲剛氏の引退の投稿。レジェンドに引けを取らない、盛り上がりを見せた。

過去のエープリルフールのネタでは、中村憲剛氏がRIZINの選手として、格闘家に転身するなど、話題性を提供してきた。来年の4月1日は、どんなネタがお披露目となるのか-。鈴木さんは「楽しめる内容を届けられたら」。リーグ2連覇中の王者は、ピッチ内だけではなく、ピッチ外でも隙がない働きを見せている。【栗田尚樹】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)