<高校サッカー:修徳3-0松商学園>◇3日◇3回戦◇駒沢

 伝統の「修徳締め」で気合を入れて臨んだ修徳(東京A)は、松商学園(長野)を下して9度目の出場で初の8強入り。準々決勝は5日に行われる。

 気迫が違った。修徳は肉弾戦という土俵に松商学園を誘い込んだ。前半8分、相手ゴール前へのロングボールをGKがこぼすと、次々と襲いかかる。DFよりも一瞬早く、FW加藤が放ったシュートはブロックされたが、DF渡辺が右足で押し込み、貴重な先制点を奪った。後半、PKで追加点を決め、さらに同15分に左CKから再び混戦になるとFW小野寺が頭でつめて3点差。得意のセットプレーから初の8強入りを決めた。

 ピッチに立つと目の色を変える男たち。伝統のスイッチが「修徳締め」だ。フジテレビ系の番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」で話題の「男気じゃんけん」で、世間にも知れ渡った。練習前や試合前に行うもので、パン、パパンと手をたたき「修徳!」と締める。MF池田主将は「僕らは修徳締めでいつも始まるから」と、この日の試合前は大応援団とともに締めて試合に臨んでいた。

 おとこ気は普段の生活から身につける。大会中、宿泊先での食事の際、各テーブルで「男気じゃんけん」が繰り広げられる。既に満腹の状態で、じゃんけんに勝った人がさらに食べる。そこで、悔しがったら男がすたる。「罰ゲームというわけじゃないけど、そうやって楽しんで結束を強くしていければいい」と池田主将は言い、ピッチの外では笑いが絶えないのが、快進撃の理由でもある。

 この日のユニホームは、同校出身の現役Jリーガー横浜MF小椋や名古屋GK高木らOBが中心となってつくったもの。「1回勝ったら着てください」と言われ、岩本監督は「やっと着られてよかった」と笑うが、1勝どころか東京勢15大会ぶりの国立までも視野に入ってきた。「次はうちが守る時間が長くなる。3対7でボールを持たれる。でもそれがうちのスタイル」と同監督は堅守速攻を掲げる。おとこ気旋風が、ここから勢力を強めていく。【栗田成芳】

 ◆男気じゃんけんと修徳締め

 フジテレビ系の番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」のコーナーで人気となったじゃんけん。(1)じゃんけんに勝った人が負けた人の分までおごる(2)勝った人が悔しい顔をすると、おとこ気がないと見なされ罰ゲームを課される、などのルールがある。修徳締めは最後に「修徳!」の掛け声で締める手締めのこと。木梨憲武が帝京サッカー部時代に修徳と対戦した時に見たということで、「とんねるず-」のコーナーのエンディングで取り入れられて広まった。