<高校サッカー:京都橘2-0市船橋>◇5日◇準々決勝◇駒沢

 前回大会準優勝の京都橘は、Jリーグ名古屋入りするU-18日本代表FW小屋松知哉(3年)の2得点で全国高校総体との2冠を狙った市船橋(千葉)に快勝した。今大会3得点で5得点を挙げた前回大会に続く2大会連続得点王を狙う。

 正月のたこが飛び交う駒沢で、小屋松が2戦連発の大活躍だ。後半5分、ゴール前でパスを受けると、ドリブルで相手DFを振り切り、ゴール左から左足で先制点。後半26分にゴール前への浮き球をトラップし、同じ角度から右足で2点目のゴール。春高バレー女子1回戦の応援を終えて駆け付けた吹奏楽部の前で跳び上がり、拳を突き上げた。

 「結果として2点取れ、チームとして成長できたと思う。周りの選手に感謝したい。相手のレベルは間違いなく高かったが、自分たちのサッカーができた」

 相手は全国高校選手権5度優勝の名門。小屋松は「伝統校相手に僕らでも戦える。強いチームだけじゃないんだというのを証明できたと思う」と胸を張った。ボールを支配される時間が続いたが、カウンターからのチャンスを生かした。

 昨季の全国選手権前に米沢監督から今季の主将に指名された。準優勝後、地元京都ではしばらくの間、サッカー関係者に頻繁に声を掛けられ、サインも求められた。だが、てんぐになることなくチームを引っ張ってきた。U-18日本代表に招集されるたびにチームを離れたが、毎回成長したプレーをチームに還元した。

 昨年10月に中国で行われたU-19AFC選手権予選では全3試合に先発出場。中国戦では得点も決め、本大会への切符をつかんだことが、大きな自信にもなった。50メートル5秒8の俊足を生かし「日本人の自分でも通用するのが分かった」。

 この日のゴールで2年連続得点王も見えてきた。「得点王はあまり意識はしていないが、チームプレーをしていく中で、結果的にゴールが奪えればいい」。目指すは前回大会でPK戦の末に逃した優勝。10年度の久御山の準優勝を見て「京都のチームでもあそこまでやれるんだ」と、全国制覇への思いを強く持つようになった。そして去年の悔しさを経て、再び国立に舞い戻る。準決勝に向け「王者になるためにチャレンジャーの気持ちで挑みたい」と、静かに闘志を燃やした。【福岡吉央】

 ◆小屋松知哉(こやまつ・ともや)1995年(平7)4月24日、京都府久御山町生まれ。小2から久御山バイソンズFCでサッカーを始め、中学時代は宇治FC。今選手権京都大会は5試合6得点。名古屋入りが内定。U-18日本代表。好きな選手はイニエスタ。171センチ、57キロ。

 ▼2年時の昨年度大会で得点王を獲得した京都橘FW小屋松が、今大会3ゴールで得点ランク3位タイに浮上。首位に1ゴール差と迫った。首都圏開催となった76年度以降では、02、03年度の国見FW平山(現東京)以来、2人目の2年連続得点王を射程にとらえた。2年生得点王は昨年度の小屋松が14人目。その翌年の選手権成績を見ると、得点を記録したのは、今大会の小屋松が8人目。過去の達成者にはFW黒崎(鹿島など)FW松波(G大阪)らJリーグで活躍した選手も含まれる。なお、1年生得点王は83年度の清水東FW武田修宏だけだが、2年時の選手権は不出場。