なでしこジャパンが2連覇を目指す女子アジア杯がいよいよ6日に開幕を迎え、日本は7日にグループリーグ初戦のベトナム戦に臨む。日刊スポーツでは、大会での活躍が期待される注目選手をプレー内外の視点から毎日1人ずつ紹介する企画「なでしこの横顔」を開始。第1回は約2年ぶりの代表復帰を果たしたFW川澄奈穂美です。

 「聞いた瞬間は正直驚きもありました。でも、やっぱり代表への思いというのは、この2年間ずっとあったので、やってやろうという気持ちがすごい強いです」。代表合流のために帰国した成田空港で、川澄は率直な気持ちを明かした。

 16年4月からの高倉麻子監督体制では初招集。32歳という年齢は現代表最年長となるが、今でも女子サッカーの世界最高峰とされる米女子リーグのシアトル・レインでプレーし、昨季は24試合で6ゴールをマーク。9アシストで同リーグアシスト王にも輝くなど、代表招集は必然ともいえる活躍をみせていた。

 それだけに、周囲の期待も高い。高倉監督は代表発表会見で川澄について「経験もありますし、勝負強さも本当に持っている。チームが精神的にふらつくような状況があったときには、しっかりチームを締めてもらいたい」と話し、チームの得点力向上と、精神的支柱としての役割を期待していることを明かした。08年に代表デビューし、16年3月のリオ五輪アジア最終予選まで、長く代表を支えてきた経験は今のチームに不可欠だった。

 代表から遠ざかっていた約2年のブランク期間もブログをほぼ毎日更新するなど、ファンとの距離は保ってきた。なでしこジャパンのレジェンド澤穂希さん(39)からも「すごく喜んでいる」と連絡を受けた。長崎で行われた1日の親善試合ガーナ戦でもボールを持つ度に歓声があがるなど、ファンの注目も高い。

 代表合流初日、高倉監督から選手へ向け「新人の川澄です」と紹介された。なでしこジャパンの救世主となるか。当の本人は「(代表を)助けてあげようとか、生意気なことは言えないけど、一緒に戦いたいという気持ちが強い。やるからには代表チームは優勝以外ありえない。強い気持ちをもって戦います」。

 油断は一切ない。米国で揉まれ、さらに磨きのかかった川澄のプレーを、しっかりとこの目に焼き付けよう。

 ◆川澄奈穂美(かわすみ・なほみ)1985年(昭60)9月23日、神奈川県生まれ。姉の影響で林間SCレモンズでサッカーを始める。県立弥栄西高、日体大と進み、08年INAC神戸レオネッサに加入。同年アジア杯台湾戦で代表デビュー。11年ドイツW杯優勝をはじめ、12年ロンドン五輪銀メダル、15年カナダW杯準優勝などを経験。14年3月に米女子リーグ、シアトル・レインに半年間期限付き移籍し、神戸復帰を経て16年6月に再びシアトル・レインに完全移籍した。157センチ、50キロ。A型。

 ◆AFC女子アジア杯 4チームずつ2組に分かれ、各組上位2チームが決勝トーナメントへ進出。8チーム中5位までに19年フランスW杯出場権が与えられる。B組の日本は7日に1次リーグ初戦のベトナム戦に臨み、10日に韓国、13日にオーストラリアと対戦する。試合は全てテレビ朝日系列で生中継予定で、ベトナム戦は午後10時30分(日本時間)から放送。