まさかの解任に、日本代表を3年以上率いたバヒド・ハリルホジッチ前監督(65)は言葉を失ったという。日本協会の田嶋幸三会長(60)は9日、都内での会見で、フランスへ渡航し直接、解任を通告したことを明かした。激情家の指揮官の様子について「動揺し、怒りもあった」。3年にわたる関係は突然、終止符が打たれた。

 ホテルで会って、ホテルで別れ…。日本とハリルホジッチ氏の3年の月日は突然終わった。7日午後6時。極秘渡欧していた田嶋会長が、W杯(ワールドカップ)に向け欧州に残り海外組視察や、事前キャンプ地視察の予定を入れていたハリルホジッチ監督をパリのホテルに呼んだ。

 田嶋会長は「礼を尽くし、直接言うことを選びました」。向き合って電撃解任の非情通告。同会長によれば「ビックリしているというのが印象。まさかこれを言われるとはと動揺し、怒りもあった。どうしてなんだと聞かれたのも事実」。その場にいたのは激情家の、あの姿の指揮官だった。

 今から3年と少し前。アギーレ監督解任を受け、当時の霜田技術委員長(現J2山口監督)が、監督候補のハリルホジッチ氏に会ったのもパリのホテル。W杯ブラジル大会で惨敗した日本の分析資料を持参。改善点を次から次へと話したという。就任後はデュエル(球際の攻防)、体脂肪率改善を言い続けた。ある時にはJリーグと欧州を比較し「特にスピードはバイクに乗っている人とフェラーリくらい違う」と言ってしまう過激な物言い。もうあの刺激的過ぎる言葉も聞けない。

 スポーツとして野球にかなわない日本の現状を憂い、日本代表を強くしサッカーをNO・1のスポーツにすると誓い、ロシアに向かって一直線に進んでいた。身から出たさびという側面もあるが、最後に同会長から「少しでも日本が勝てるようにしたい」と言われた。つまり、あなたでは勝てないとクビにされた。

 W杯目前の解任はコートジボワールを率いていた10年以来、2度目。こういう運命なのか。フランス・リールの自宅では愛犬コスモがほえ元気だったが、対応したディアナ夫人は「(夫は)ここにはいない。話を聞くのは不可能だ」とだけ答えた。日本が好きで、自慢の庭の桜が咲いていた。だが、満開になる前にハリルの桜は散ってしまった。【八反誠】