【バンコク(タイ)4日=杉山理紗】東京オリンピック(五輪)世代のU-23(23歳以下)日本代表MF食野(めしの)亮太郎(21=ハーツ)が、U-23アジア選手権(8日開幕、タイ)でのゴールを宣言した。

招集23選手中、唯一の海外組。11月のU-22コロンビア戦からパワーアップした姿で、日本をアジアの頂点へと導く覚悟だ。

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タイの日差しに輝くブロンドヘアの食野から、頼もしい言葉が飛び出した。

「いつまでこのチームに参加するかは分からないけど、参加できる期間でチームが勝ち進んでいけるよう、自分のゴールやアシストで貢献できたらいいなと思っています」

東京五輪への出場を懸けたアジアの戦いだが、開催国として出場権を得ている日本は国内組中心の編成で、海外組は食野ただ1人。グループリーグ3試合の参加は確定しているが、決勝トーナメント以降についてはチームとの交渉次第だ。10番も背負い、いやが応でも注目されるが「たまたま僕1人。海外組やから、というのは特にない。周りに上から言う立場でもないし、引っ張ってもらう立場でもない」と気負いはない。

19年前期にG大阪でブレークし、8月にマンチェスターCと契約。期限付き移籍でスコットランド1部ハーツへと渡った。世代別代表に初招集されたのはその後の10月。2回目の招集となった11月のU-22コロンビア代表戦では「限られた時間で結果を残すのが、途中から入った前線の選手の役割。得点が取れなかった」と、7分の出場から収穫を持ち帰った。

チームに戻ってからはシュートの幅を増やすべく、自主練習でさまざまな距離から打ち込んだ。屈強な選手に当たり負けしない体を作るべく、体幹や足腰を太くするためのトレーニングにも挑戦中だ。理想はRマドリードのFWアザール。「究極を言えば、その選手が戦術になっちゃう選手。1人で局面を打開できる選手が理想なので、メッシもそうだけど試合を決められる選手になることが理想」と肉体改造に励んでいる。

唯一の海外組だが、実は国際大会は初挑戦。「どういう選手がどういう国の人なのかは分からないけど、相手は関係なく、自分は自分のサッカーをするだけ。どれだけ通用するか楽しみだし、何か爪痕は残してやろうと思います」と力強く宣言した。

○…連日気温30度超えのタイでは練習時、暑熱対策として、氷水の入ったバケツが複数用意された。選手は給水のタイミングでバケツに腕を突っ込み、手首の動脈や前腕部を冷却することで効率的に体を冷やしている。MF旗手は「スタッフの方がいつもより、給水や体を冷やす時間を長く取ってくれてありがたい」と感謝した。

○…4日も前日に続き、午前と午後の2回練習を行った。午後練習にはバンコクの日本人学校に通う小中学生約20人が見学に訪れ、選手らと記念撮影をするなどして交流した。お正月で帰国中の生徒も多かったが、“日本晴れ”がテーマの新ユニホームを着用した生徒の姿もあった。

◆食野亮太郎(めしの・りょうたろう)1998年6月18日、大阪・泉佐野市生まれ。G大阪下部組織出身で、MF堂安とは同期。19年G大阪で飛躍し、同年夏にマンチェスターCと契約。期限付き移籍でハーツに加入した。19年10月にU-22日本代表に招集されるまで、年代別代表歴はなかった。171センチ、68キロ。