最後のとりでが、最後のアピールに成功した。日本代表GKシュミット・ダニエル(30=シントトロイデン)が、ビッグセーブを連発。11月20日に開幕するワールドカップ(W杯)カタール大会に臨むメンバー決定前の最終戦で、PKストップを含む抜群の安定感を示した。「引き分けだったので満足とは言えないけど、間違いなく今までの代表の試合でプレーしてきた中で一番いいパフォーマンスだったと思う。自信として持っていいと思うし、こういうパフォーマンスをチーム戻っても続けていけるように頑張っていきたい」と言葉に、充実感が漂っていた。

最大の見せ場は後半38分ごろ。DF谷口がPKを献上。ただ、シュミットは動じなかった。コースを完璧に読み、ゴール左へ飛んで両手ではじいた。「とりあえず、少しでも相手の気をそらして自分が信じた方に思い切り飛ぼうと思った。結果的にドンピシャでいいところにボールが来た」。直後の同40分には、ゴール右隅へのヘディングをポストに体をぶつけながら、防いだ。前半ロスタイムには、CKからヘディングを合わされたが、右手1本でかき出した。

SNSでは「第2の川島」を期待する声が上がった。「これ南アW杯前の川島みたいじゃん」などと、10年南アフリカW杯で、直前に正GKの座を奪った川島を思い浮かべる人も多かった。ただ、本人は「まだW杯本番のことを考えるのはちょっと早いと思うけど、またここからチームでどういうパフォーマンスするかでその序列は良くも悪くもどうにでもなると思う。まずはそこに集中して、その上で最後決めるのは監督。もちろん試合出ること目指してやっているけど、あまりそれを意識し過ぎずに」と冷静を貫いた。

苦しい時を味わったからこそ、地に足がついている。先発した6月14日のキリン杯決勝・チュニジア戦は、ミス絡みで3失点で敗北。あの日から3カ月が経過した。23日米国戦で守護神・権田が負傷。そのまま代表を離脱した中、身長197センチのビッグなシュミットが大きな存在感を示した。「今日みたいな押し込まれる展開でもこうすれば耐えられるって1つの例になった。そういう表現もできたし、この2試合でチームの自信は深まっていると思うし、W杯前の試合もあると思う。あまり準備期間ないが、そこでみんなお互い高めていけるかが大事になってくる」。最後の最後まで、アピールを続ける。