日本サッカー協会(JFA)は8日、J1湘南ベルマーレのFW町野修斗(23)をワールドカップ(W杯)カタール大会のメンバーに追加招集することを発表した。右アキレス腱(けん)の負傷で欠場となったDF中山雄太(25=ハダースフィールド)に代わる追加招集。身長185センチの町野は両足と頭でも点を取れ、前線の起点にもなれる万能型。初招集だった7月の東アジアE-1選手権で活躍した。
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森保監督は、DFを1枚欠いて、代わりにFWを選んだ。単純に攻撃的に戦うと、イメージするかもしれない。しかし、この選択は1日の26人メンバー発表の時に、最後まで悩んだオプションでもある。会見の席で同監督は「大迫は最後まで悩んだ」と話した。要するに、高さがあり前線で味方が攻め上がるための時間が作れるストライカーを1枚入れるかで悩んだ。
日本はFWのオプションとして速い浅野と前田を、速くて強い上田を選んだ。上背のあるFWが1枚ほしかったが結局、守備の人数を増やすことで空きがなくなってしまい、諦めざるを得なかった。その後に中山のアクシデントがあり、1度諦めた攻撃のオプションを復活させた。左サイドは長友と伊藤で間に合うと判断したのだろう。
町野が加わって攻撃の形は変わるのか。スタメン起用の可能性は低いかもしれない。おそらく3戦ともスタートは浅野や前田になるだろう。相手守備の特徴や日本の2列目選手の動きなどを考慮して、途中から上田を使うか、町野を選ぶかを決めるのではないか。クロスを多用した方が有効的だと判断した場合には町野の出番になる。
町野が競り勝たなくても、クロスのこぼれ球に味方がうまく反応すれば、ビッグチャンスになる。タイミングよくクロスを上げれば、相手DFも対応にてこずり、守備ラインの混乱につながる。日本の2列目は短いパスを多用して連動することでチャンスを作る選手が多いが、南野や伊東はスペースでボールを受けることも得意な選手。町野が加わり、攻撃のバリエーションが増えることで相手は戸惑うし、その分得点機会は増える。
さらに町野は、対戦相手にとって情報量が少ない選手である。これまでフルメンバーがそろったA代表でのプレー回数も少なくベールに包まれたまま本番を迎えることになる。秘密兵器ともいえる。1度、落選の挫折を味わった町野が、その悔しさをバネにできるか。大活躍を楽しみにしている。(磐田スポーツダイレクター・元日本代表MF)
◆藤田俊哉(ふじた・としや)1971年(昭46)10月4日、静岡市生まれ。清水商高、筑波大から95年に磐田入団。01年にはJリーグMVP。12年引退。オランダVVVのコーチやリーズのフロントスタッフ、18年から日本サッカー協会の欧州駐在強化部員として日本人選手のサポート、欧州クラブとの橋渡し役も務めた。今月、黄金期を築いた古巣の磐田の強化責任者にあたるスポーツダイレクターに就任。元日本代表。

