<U-20女子W杯:日本2-2ニュージーランド>◇22日◇宮城ス◇1次リーグ

 ヤングなでしこは、ニュージーランド代表と引き分けた。地元、宮城県の常盤木学園高に所属するFW道上彩花(18)がヘディングで同点弾を決めた。立ち上がりに体格で上回るニュージーランド代表におされ、いきなり2失点。それでも粘り強く2点を返し何とか引き分けに持ち込んだ。ヤングなでしこは、決勝トーナメント進出をかけて、1次リーグ最終戦となるスイス戦(26日)に臨む。

 ゴールを決めた道上は、星のまたたく夜空に人さし指を掲げた。そして、背中に着けている「MICHIGAMI」を指さし、ゴールの感触を味わうように笑顔でピッチを駆けた。

 1点を追いかける後半26分、左CKのチャンス。それまでCKでは、体格で上回るニュージーランド選手に競り負け、クリアされることが多かった。しかし、プレーの直前、道上はキッカーの田中陽と目が合った。「ここにボールを出して」。一瞬のアイコンタクトで、「絶対にボールが来ると思った。入る気がしていた」。迷いなく、ゴール前に飛び込んで行った。

 ジャパンブルーのハイソックスの中には、少し古くなったすね当てが入っている。7年前、14歳で他界した兄翔太さんが愛用していたものだ。道上が小2でサッカーを始めたきっかけは、3歳上の兄だった。「一緒に日本代表になろう」を合言葉に、毎日一緒にボールを蹴り合った。

 別れは、あまりにも突然だった。05年のクリスマス。自宅でパーティーの準備をしている最中に、兄は倒れた。脳内出血だった。小5だった道上は、サッカーを続けた。そして、兄との約束を果たすため、人生を左右する大きな決断を下した。「兄の分まで夢をかなえる」。出身の徳島県から、女子サッカーの強豪で知られる宮城の常盤木学園高へ進学した。

 ゴール後は、いつも兄のいる空を指さす。背中も指さすのは、兄と同じ名字がプリントされているから。この日も「いつも一緒にいますから」。18歳ながらU-20代表に選出され、ワントップを任されるまでになった。「1人だけだけど、代表でゴールできてよかった」と会心の笑み。

 今大会初得点を、高校のある地元で行われる最後の試合で決めた。「早く1点が欲しかった。宮城で結果が残せてよかった」。重圧から解放され、天国の兄とともにさらに上を目指す。【保坂恭子】

 ◆道上彩花(みちがみ・あやか)1994年(平6)7月27日、和歌山県生まれ、徳島県育ち。徳島・阿南市今津小2年でサッカーを始める。那賀川中では男子サッカー部に在籍しながら、女子の鳴門ポラリスFCに所属。常盤木学園高では11年の全日本高校女子選手権で得点王を獲得し、優勝に貢献。11年8月にU-19日本代表に選出される。利き足は右。170センチ、65キロ。血液型AB。