日本代表のDF長友佑都(28=インテルミラノ)が22日、アジア杯準々決勝(シドニー)のアラブ首長国連邦(UAE)戦へ向けて前日会見に臨んだ。

 3年半後は考えられない。今は目の前のアジア杯のことしか考えられない。DF長友は会見でためらった。3年半後のロシアW杯に向けた質問を受けた。約20秒間。宙を見て、ときおり上に視線を送り考えこんだが言葉が出ない。一呼吸置いてからゆっくりと、苦悩にいる心境を明かした。

 「次のW杯への心境を語るのは難しくて…。今そのことを考えて、言葉を発するにはエネルギーが必要。そのエネルギーを使うなら、明日の試合でダッシュ1本に使いたい。いかにチームのために犠牲になれるか。チームのためにいかに走れるかが目標であり課題。だから明日の試合、チームのために走る」

 壇上に座り、徐々に口調は熱を帯びた。昨夏のブラジルW杯。未勝利のまま終戦したコロンビア戦直後、一時は「代表引退」が頭をよぎった。一晩考え続行を決断。アジア杯連覇に向けて再スタートを切った。「目の前の自分の仕事をこなすことが大事」と、MVP級の活躍を見せた前回大会に続き、今大会でもスピードと運動量で格の違いを見せている。

 今日のUAE戦で代表通算80試合出場。決勝までいけば82試合で、三都主に並び歴代サイドバックでは最多タイになる。日本にとっても勝てば5大会連続4強だ。「『勝ちたい』という一言。この一言にすべてがつまっている」。先を見すぎず、日本のために走る。【栗田成芳】