【シドニー(オーストラリア)22日】日本代表のFW本田圭佑(28=ACミラン)が、代表では初の4戦連発で4強へ導く。今日23日の準々決勝アラブ首長国連邦(UAE)戦に向けて公式練習に参加した。舞台は、00年シドニー五輪で高橋尚子が日本女子マラソン史上初の金メダルのゴールを切った場所。日本にとっては縁起のいいスタジアムで、史上初の2大会連続MVPと得点王に前進する。

 舞台となるピッチに姿を現すと、本田はぐるりと周囲を見渡した。準々決勝UAE戦の会場で行われた公式練習。00年シドニー五輪のメーンスタジアムは、かつて11万人を収容した巨大な器だ。冒頭15分間だけ公開された調整では、リズム感ある動きで黙々とドリブルをこなした。初戦から3戦連発で1次リーグを突破。20日ヨルダン戦から中2日の強行日程となるUAE戦でも、得点しか頭にない。

 日本にとっては、縁起のいい場所だ。ここは00年9月24日のシドニー五輪で、高橋尚子が日本女子マラソン史上初の金メダルのゴールを切ったスタジアム。03年ラグビーW杯のために球技専用競技場に改修され、陸上トラックはなくなった。それでも施設内には金色に輝く「TAKAHASHI

 Naoko」のプレートが、今もある。偶然にも本田は、当時の高橋と同じ28歳。日本中を歓喜の渦に包み込んだ会場で日本を4強進出に導き、さらには同じ会場で行われる決勝戦で2連覇を達成する-。そんなシナリオを思い描いた。

 4戦連発はオランダ1部VVV時代の09年8月以来で、代表では初になる。日本の国際Aマッチを見ても、93年カズ(現横浜FC)以来22年ぶりの快挙だ。アジア杯の得点ランクでは首位に1点差の2位タイ。UAE戦も連続ゴールを継続すれば、史上初の2大会連続MVPはもちろん、得点王も視野に入る。

 この日は試合前日のため、本田は一切取材には応じず無言だった。これまで「大事な試合で点を決めることに価値がある。ここ一番で決められるように準備をしたい」と発言。常に、ゴールへのイメージはできている。アジア王者への道のり-。“金メダルロード”から、ラストスパートをかける。【益子浩一】