聖和学園(宮城)は優勝経験のある野洲(滋賀)に7-1で大勝発進した。

 全国をかつて制したセクシーフットボールを、聖和学園の「ドリブラーパラダイス」で粉砕した。前半13分、左サイドをドリブルで切り裂いたFW谷田の先制点を皮切りに開始から18分で3得点。加見監督も「予想していなかった」と驚く展開は後半に入っても変わらなかった。センターバック(CB)のDF剣持とDF竹田もドリブルで最前線まで駆け上がり得点をマーク。フィールド10人全員がドリブラーという異色のスタイルで、7発も決めた。

 丹野主将は「自分たちの良さを見せられた」。ボールを持てばまずドリブル。自陣でも、相手に囲まれても、ボールを離さずとにかく突破を図る。同主将自ら名付けた「ドリブラーパラダイス」が強豪・野洲を全く寄せ付けなかった。03年創部当初から個人技主体のスタイルを目指し、お手本にしていたのが、10年前に優勝した野洲だった。

 野洲の山本監督に依頼し、滋賀遠征もたびたび敢行。「ただ野洲さんをまねるだけじゃなくて、何が武器になるのか。それがドリブル」と加見監督。部員158人の大所帯で練習場は限られている。狭いコートに10対10のボールキープを、3個の球で行うメニューが定番。キープ力と同時に、奪われた後の素早い切り替えも自然と身についた。

 2年連続初戦突破も昨年度は2回戦で力尽きた。次戦は優勝候補筆頭の青森山田。ロングスローなど高さを使った空中戦に「うちには180センチ台は1人もいない。やれることをやるだけ」と同監督。ドリブラーたちが地上戦に持ち込み、パラダイスという名の波乱を巻き起こす。【栗田成芳】