全国高校サッカー選手権の決勝が今日11日、埼玉スタジアムで行われる。初優勝を狙う国学院久我山(東京A)と、17大会ぶり3度目の頂点と全国総体との「夏冬2冠」に挑む東福岡が対戦する。両校は10日、さいたま市内で最終調整した。国学院久我山は、エース番号「14」を背負うMF名倉巧と「10」のFW渋谷雅也の2年生コンビが、3年生に贈る優勝弾を誓った。

 国学院久我山のエース番号は「14」と「10」だ。「14」は、チームスローガンと同じ「美しく勝て」を掲げたヨハン・クライフ氏のオランダ代表とアヤックス(オランダ)での番号。今季は李済華総監督が「類いまれなセンス」と評価するMF名倉が背負っている。今大会は全4試合に先発し、2アシストを記録しながら無得点の名倉は「このままでは終われない。ピンチでチームを救える14番になりたい」と負けん気をあらわにした。

 幼い頃から周囲に比べ体格が小さかった。それを補うため、技術向上を追求してきた。小学6年でリフティング1300回、中1で3000回を記録した。東京深川ジュニアユースからユースには昇格できなかった悔しさを胸に、国学院久我山のパスサッカーに居場所を求めた。1年からレギュラーを奪い「小さいなりに自分がやっていくべきプレーを確立できる高校だった」と言い「ラストの試合は、プロの関係者も見てると思う。自分の人生を懸けるつもりでプレーしたい」と意地を口にした。

 1トップのFW渋谷も、中学入学時に東京深川ジュニアユースに入れず挫折を経験した。今大会で2得点し「3年生には優しくしてもらった。10番らしい活躍で自分が勝利に導きたい」。チームにはミーティングがないため、名倉とはピッチ外でお互いが求めるプレーを話し合う。相手は総失点1の東福岡だが、名倉は「(渋谷)雅也とはイメージは共有できているし必ずチャンスはある。雅也を輝かせて、自分も得点できれば」。ラストを飾る得点シーンは思い描けている。【岩田千代巳】

 ◆名倉巧(なぐら・たくみ)1998年(平10)6月3日、東京生まれ。幼稚園年中からサッカーを始める。東京深川ジュニアユースではU-15クラブユース選手権で2位。167センチ、58キロ。

 ◆渋谷雅也(しぶや・まさや)1998年(平10)5月4日、東京生まれ。幼稚園からサッカーを始める。ジェファFC-国学院久我山。1年時は背番号「9」。163センチ、58キロ。