清水エスパルスはアウェーでセレッソ大阪と対戦し、1-1で引き分けた。前半3分、2試合ぶりに復帰したFW鄭大世(33)が左クロスから頭で決めて先制。主将の3戦ぶりの得点が決まったが、後半ロスタイムにPKで失点。連敗は2で止まったが、9戦ぶりの勝利を目前で逃した。

 清水に頼れる主将が帰ってきた。前半3分、左サイドのスローインの流れでMFチアゴ・アウベス(24)がニアにクロスを入れると、鄭は相手DF2人に挟まれながら技ありヘッドを決めた。前日16日、「結果を残して、チームを引っ張りたい」と話したことを実行した。

 強い決意を持っていた。5月31日ルヴァン杯東京戦(2-1)の接触プレーで転倒。脳振とうを負い、左耳付近と口を計16針縫った。リーグ戦東京戦(4日)は今季リーグ戦を初観戦。0-2で完封負け。試合後、すぐに立ち上がることができなかった。「いつも周りが自分に合わせてくれているんだと分かった。点を取らせようとしてくれている。感謝の気持ちになった」。主将、エースとして自覚が深まった。普段から食生活に留意しているが、休み前の楽しみだったアルコールも断った。全てを清水にささげる決心が、先制点に結びついた。 

 後半は終始C大阪にペースを握られながら、全員守備で泥臭く守っていた。犬飼の代わりにリーグ初出場のDFカヌ(31)は、セットプレーで持ち味の高さを見せてはね返した。守護神GK六反勇次(30)の好セーブも光った。だが、後半ロスタイム、ペナルティーエリア内でDF松原后(20)がハンドの判定を取られ、PKを献上。六反は清武弘嗣の放ったキックのコースを読んで反応したが、伸ばした手の先にボールが過ぎてネットが揺れた。連敗は2で止まったが、リーグ9戦ぶりの勝利は残り1分で消えた。メンバー、サポーターに大きな喪失感が残った。【保坂恭子】