クラブ初の決勝進出を逃したベガルタ仙台渡辺晋監督(43)は、「私の力がもう少しあれば、応援してくれるいろんな方を(決勝の舞台)埼スタに連れて行けた」と悔しがった。

 2点を先行されたが、悲願達成の可能性はあった。後半7分に相手DFが警告2枚で退場となり、数的有利に。その7分後の同14分に、MF中野が得意のドリブルから追撃のゴールを決めた。その後は押し込む時間は続いた中、生命線のサイド攻撃に徹したが精度が足りず、相手のブロックを崩すにはいたらなかった。逆に前掛かりになった裏のスペースをカウンターで狙われ、痛恨の3失点目を喫した。指揮官は「選手は攻め込むことはできた。だが(攻守の)バランスが悪くなり、秩序がなくなった。私の方でしっかりコントロールしてあげられれば逆転できたかもしれない」と自らの責任を口にした。

 だが、チームを初の4強進出に導いた功績が揺らぐことはない。渡辺体制3年半での成長を見せた。目指してきた「ボールを握ることで主導権を握る」サッカーを展開。第1戦の先勝を理由に守勢に入ることはなく、攻めの姿勢でボール支配率は55%を記録した。「川崎相手に構えた時には攻め込めた。ちょっとした成果なのかな」と少しだけ目を細めた。

 「強化費や経営規模はJリーグでも下から数えた方が早いと思う。地方のクラブでも自分たちの哲学、ポリシーを持って信じてやれば、こういうことをやれる。これからも披露していきたい」。悔しさをかみ殺し、今後の挑戦を見据えた。